演題

PI3-7

膵癌切除症例における術前好中球/リンパ球比が長期生存に与える影響

[演者] 安部 智之:1
[著者] 天野 尋暢:1, 別木 智昭:1, 武智 瞳:1, 竹元 雄紀:1, 山根 宏昭:1, 藤國 宣明:1, 奥田 浩:1, 福田 敏勝:2, 中原 雅浩:1
1:尾道総合病院 外科, 2:JR広島病院 外科

【はじめに】これまでにGlasgow prognostic score (GPS)や好中球/リンパ球比(Neutrophil-Lymphocyte ratio: NLR)は,全身の炎症状態をスコア化した指標であり各種癌腫において,有用な予後予測因子として報告されている.今回,我々は膵癌治癒切除症例における臨床病理学的因子に加えて,全身炎症スコア(GPS,NLR)が長期予後に関与するかについて検討した.
【対象と方法】2004年1月から2014年12月まで膵切除術を行った膵癌139例を対象とし,全生存や無再発生存に関わる癌関連炎症スコアと臨床病理学的因子を検討した.ROC曲線を用いNLRカットオフ値は3.5とし,GPS=1,2をGPS陽性とした.
【結果】60歳以上が122例(77.8%)で,男性65例(46.8%),女性74例(53.2%)であった.術前黄疸を来していた症例が21例(15.1%)で,糖尿病を有していたのが48例(34.5%)であった.膵頭部癌が84例(60.4%)で,膵体部もしくは尾部が55例(38.1%)であった.全生存に関する危険因子は,単変量解析では,DM,CA19-9高値,CEA高値,NLR3.5以上,GPS陽性,R1切除,門脈再建術,pT3/4,pLN陽性,手術時間446分以上,出血量500ml以上であった.多変量解析では,DM,NLR3.5以上,500ml以上の術中出血,CEA高値,CA19-9高値,pT3/4,R1切除が独立した危険因子であった.無再発に関する検討においても,NLR3.5以上,500ml以上の術中出血,CEA高値,CA19-9高値,pLN陽性,R1切除が独立した危険因子であった.NLR3.5以上をNLR-high,それ未満をNLR-lowとして2群間の比較検討をした.NLR-high群においては,T3,4の症例が有意に多かったが,リンパ節転移率や手術因子・術後合併症などはNLR-low群と同等であった.また,NLR-high群では,癌関連炎症を反映した貧血や低栄養状態を有意に随伴していた.
【結語】術前NLRは,膵癌切除症例の予後予測因子として有用であった.NLRは癌の進行度とは独立した予後規定因子であることから,NLR-high群に対する補助化学療法を含めた集学的治療の検討がより重要である.
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