演題

PI1-4

局所進行膵癌に対する導入治療としての放射線化学療法の成績と課題

[演者] 上田 順彦:1
[著者] 藤井 頼孝:1, 三浦 聖子:1, 藤田 純:1, 富田 泰斗:1, 大西 敏雄:1, 藤田 秀人:1, 木南 伸一:1, 中野 泰治:1, 小坂 健夫:1
1:金沢医科大学病院 一般・消化器外科

【はじめに】局所進行膵癌において術前化学(放射線)療法の有用性が認識されてきたが,施設ごとに方法も異なり,成績も満足いくものではない.【目的】膵癌に対する導入治療としての化学放射線療法(CRT)の成績とその後手術施行例の成績を検討し今後の課題を明らかにすること.【対象と方法】過去7年間6か月間に当科で経験した局所進行膵癌のうち24例に導入治療としてCRTが施行された.切除可能性分類による内訳はR 11例,BR 6例,UR 7例であった.これらのCRTの成績とその後の手術の有無による成績を検討した.予定線量は40~52Gy,照射日にTS-1を投与した.【成績】(1)CRT後の経過:40Gy以上照射できた21例(施行率87.5%)中7例が手術となった.40Gy以下の照射の3例中2例も手術を施行し,合計9例に根治的手術がなされた(R6,BR3).他の15例は非切除で,高度な局所進展7例,手術拒否4例,肝転移2例などであった(R5,BR3,UR7).(2)CRTの臨床的効果(照射前と照射後1か月): 腫瘍の大きさ:全例SD(-30%~+20%)であった.腫瘍マーカー(TM):TMの正常値の何倍かで検討した.検討可能な21例中17例81%でTMは低下した.PET-CTのFDG集積:17例中16例94%でFDGは低下し1例のみ増加した.平均では48.7%低下した.(3)組織学的効果(CRT+手術例): 1b+2合わせて9例中5例が奏効した(奏効率56%).これらは40Gy以上の照射線量とTS-1 1500mg以上が投与された.(4)予後:R,BR症例に対するCRTとCRT+手術例を検討した.CRTのみでは3生率38%で,4年以上生存は1例のみであった.CRT+手術例では3生率67%, 5生率53%で,CRT+手術例でのみ5年生存(3例)が得られた.(5)CRT+手術例の再発状況:照射40Gy,併用TS-1 1500mg以上を基準とした.両方とも規定量に達しなかった2例は早期に局所再発し,組織でもリンパ節転移,脈管浸潤も高度にみられた.規定量の投与ができたが再発した4例では全例遠隔転移再発し,これら症例の病理はリンパ節転移以外に脈管浸潤を高度に認めていた.これに対して長期無再発生存中2例はいずれも脈管浸潤が軽度であった.なおいずれも術後TS-1またはGEMが継続された.【結語】(1)膵癌に対する化学放射線療法は抗腫瘍効果を有し,さらにR,BR膵癌に対してはCRT単独例に比べて手術ができた症例では長期予後が期待できる.(2)CRT後 R0手術ができても脈管浸潤,リンパ節転移が高度な症例は再発のリスクがあり,術後に強力な化学療法の導入が望まれる.
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