演題

PI1-2

膵癌術前化学放射線療法の組織学的効果における腫瘍免疫の重要性

[演者] 木下 正一:1
[著者] 赤堀 宇広:1, 長井 美奈子:1, 中村 広太:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【背景】
膵癌に対する術前化学放射線療法(NACRT)の組織学的著効例は長期生存も期待し得る. しかし,なぜ治療例の一部にのみ高い抗腫瘍効果が得られるのか, 詳細な機序は分かっていない. 放射線治療による免疫賦活効果が報告されており, 奏効に関与している可能性がある. 今回, NACRT組織学的効果と腫瘍免疫の関連性について検討した.
【対象/方法】
対象は2008年5月~2015年4月までにNACRT後に膵切除を施行した膵癌111例. NACRTはIMRT 54Gyにゲムシタビン(GEM) 1000mg/㎡を併用した. 組織学的効果判定はEvans分類を用い, Grade≧IIIを著効例とした. Evans分類別に臨床病理学的因子を比較した.
【結果】
(I) 組織学的効果: 著効例は6例(5.4%, Grade IV 2例, Grade III 4例), Grade IIBは50例(45%), Grade IIAは54例(48.6%), Grade Iは1例. (II) 患者背景: NCCN resectability によるBR-A膵癌割合, NACRTにおける放射線照射線量, GEM投与回数はEvans grade≦IIA, IIB, ≧IIIで各々に差を認めなかった. (III) 予後: 5生率は著効例 75%, Grade IIB 34.7%, Grade≦IIA 40.8%であった. Grade IIBとGrade≦IIAの予後に差を認めなかったが,著効例の予後は他群と比較して有意に良好であった.(IV)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の検討: 免疫染色によりTILについて検討した.著効例は他gradeと比し, CD4, CD8陽性TIL数が有意に高値であった. また,CD45RO陽性TILも著効例は有意に高値であった. 一方, FoxP3陽性TIL数は著効例において有意に低値であった. Grade≦IIAとIIBでTILに差は認められなかった. (V)局所サイトカインの検討: Real time PCRによる局所免疫活性の検討では,著効例において,IL2値がGrade≦IIBと比し有意に高値であった. IFNγ, TGFβ, IL6, IL10は差を認めなかった.
【結語】
膵癌術前化学放射線治療後の組織学的著効例において,非著効例と比し腫瘍内浸潤T細胞数に有意差を認めた.術前化学放射線療法治療効果における腫瘍免疫の重要性が示唆された.
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