演題

高齢者胃癌手術の筋肉量減少に与える影響

[演者] 井上 広英:1
[著者] 玉川 洋:1, 澤崎 翔:1, 大島 貴:2, 湯川 寛夫:2, 利野 靖:2, 益田 宗孝:2
1:上白根病院 外科, 2:横浜市立大学附属病院 一般外科

【はじめに】
サルコペニアは加齢に伴う骨格筋量と筋力の低下とされており,消化器外科手術において術後成績に影響を与えると言われているが,手術自体が筋肉量減少に与える影響は明らかではない.今回われわれは,腹部CT検査における大腰筋横断面積を用いて,高齢者胃癌手術における筋肉量減少に与える影響について検討した.
【対象】
2008年1月~2015年12月に胃癌に対して胃全摘術もしくは幽門側胃切除術を施行し,術前及び術後6ヶ月にCT検査を施行した70歳以上の高齢者症例36例を対象とした.
【方法】
腹部CT検査で,第3/4腰椎のレベルにおける大腰筋横断面積(TPA)を測定し,術前と術後6ヶ月のTPA減少率を算出し,TPA減少率10%以上を筋肉量減少群(A群),10%未満を筋肉量減少なし群(B群)とし,両群間の周術期因子を比較検討した.
【結果】
全体の平均TPA減少率は11.9%であった.A群が20例,B群が16例であり,平均TPA減少率はA群:21.5% vs B群:0.4%であった(以下A群 vs B群).平均年齢(75.9歳 vs 76.2歳, p=0.882),術前PS2以上(20.0% vs 12.5%, p=0.549),Stage3以上 (35.0% vs 31.3%, p=0.813),Clavien-Dindo分類Grade2以上の合併症発生頻度(15.0%vs 18.3%, p=0.764)といずれも明らかな差を認めなかったが,術式において,胃全摘術症例が筋肉量減少群で有意に多かった(60.0% vs 25.0%, p=0.036).また,Charlson Comorbidity Index 3点以上の高リスク症例は,筋肉量減少群で多い傾向が見られた(45.0% vs 18.8%, p=0.097).
【結語】
高齢者胃癌手術における筋肉量減少に与える影響について検討した.胃全摘術症例や術前併存疾患を有する症例において特に筋肉量減少が進む可能性が示唆された.
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