演題

胃癌術後の晩期イレウスの検討

[演者] 草薙 洋:1
[著者] 岡 直輝:1, 宮原 豪:1, 藤本 剛士:1, 八木 勇磨:1, 林 健太郎:1, 藤井 渉:1, 本城 弘貴:1, 林 賢:1, 山田 成寿:1
1:亀田総合病院 消化器外科

【はじめに】胃癌術後のイレウスは比較的頻度が高く,重要な合併症である.術後早期の腸管麻痺あるいは手術操作に起因する腸管通過障害から,術後晩期の癒着性腸閉塞までその病態は様々である.今回我々は胃癌術後に発症した晩期イレウスの実態を検証した.【対象】1992年1月より2011年12月までに胃切除既往がなく,かつ肉眼的腫瘍残存のない胃切除再建術が可能であった胃癌1944例.男性1351例,女性593例,手術時年齢中央値67歳(29-93歳)【方法】カルテおよび電話による後方視的研究.手術同一入院期間中に発症したものを早期イレウス,退院後に発症し絶飲食以上の入院加療を要するもの晩期イレウスと定義した.晩期イレウス発症は入院日とし,手術日を起点としてKaplan-Meire法で算出,各諸因子別にLogrank法で比較検討し,p<0.05を有意差ありとした.【結果】術後観察期間中央値は72ヶ月.晩期イレウス発症は159例(8.2%)延べ387回に認めた.男性128例,女性31例.初回発症時年齢中央値68歳.初回発症時期は術後1年以内が62例(39.0%),1-2年が21例(13.2%),2-3年が16例(10.1%)であり,漸減していくが10年以後発症が11例(6.9%)に見られた.晩期イレウスの累積発症回数は1回が102例,2回が21例,3回が12例であるが,10回以上も8例認めた.晩期イレウスの累積発症率は1年3.4%,2年4.8%,3年5.9%,5年7.9%,10年10.8%であった.治療は30例(18.9%)に外科的介入が必要であり,手術から発症までの期間が1年以内症例および累積発症多数症例で外科的介入の頻度が高率であった.晩期イレウスに起因する死亡例が3例認めた.晩期イレウス発症は男性vs女性,69歳以下vs70歳以上,リンパ節郭清D2未満vsD2以上,早期イレウスの既往の有無およびstageには有意差を認めなかった.しかし胃全摘VS幽門側胃切除,出血量500ml以上vs500ml未満,他臓器切除の有無,腹腔鏡vs開腹で有意差を認めた.1992-1998年を前期,1999-2005年を中期および2006-2011年を後期の3期に区分し, 期別累積発症率を比較すると術後1年でそれぞれ4.4%,4.1%,2.2%,術後2年で6.9%,5.1%,2.6%,術後5年で12.2%,8.3%,4.3%と有意差を認めた.【結語】手術デバイスの進化および腹腔鏡下手術の導入などにより,胃癌術後の晩期イレウスの発症は減少してきている.しかし時に重篤な転帰をとり,長期にわたる留意すべき合併症である.
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