演題

術前eGFR値の定型的胃切除術後合併症予測因子としての有用性の検討

[演者] 田中 友理:1
[著者] 神田 光郎:1, 田中 千恵:1, 山田 豪:1, 藤井 努:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 小池 聖彦:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【目的】
進行胃癌に対する標準治療はリンパ節郭清を伴う定型的胃切除術であるが, 一定の頻度で縫合不全や膵液漏などの術後合併症が発生する. そのため適切な周術期管理を行うためには, 簡便かつ術前判定可能な合併症予測因子が望まれる. これまで, 術前推定糸球体濾過量 (estimated glomerular filtration rate; eGFR)低値が心臓大血管術後死亡率予測因子として有用であることや, 慢性腎臓病患者で結腸手術術後感染性合併症発生率が増加する報告は認めるものの, 術前腎機能と胃切除術後合併症の関連性についての報告はみられない.
【方法】
臨床病期T2-4胃癌と診断され, 胃癌治療ガイドラインに準じた根治的胃切除術を施行した315例を対象とした. 腎機能指標である血中尿素窒素, 血清クレアチニン, Cockroft-Gault式クレアチニンクリアランスおよびeGFRの術前値と Clavien-Dindo分類grade III/IV 術後合併症発生との関連性を後方視的に検討した.
【結果】
術前腎機能指標の術後合併症発生に対するreceiver operating characteristic (ROC)曲線解析では, eGFR値が最も高いarea under the curve値を示した. そこで, ROC曲線解析で得たeGFR値のカットオフ値 (63.2 ml/min/1.73m2)を用いて, eGFR高値群とeGFR低値群に分けて群間比較解析を行った. eGFR低値群では高値群と比べて有意に術後合併症発生率が高く, 多変量解析において術前eGFR低値は独立した術後合併症危険因子であった (オッズ比 4.67, 95%CI 2.16 - 10.5, P < 0.001). 合併症内容としては, 縫合不全発生率がeGFR低値群で有意に高値であった. 年齢, 術前body mass index, 術式, 病期ごとのサブグループ解析では, いずれのグループにおいてもeGFR低値群で術後合併症発生率が高かった.
【結語】
術前eGFR値は, 進行胃癌に対する根治的胃切除術後合併症予測因子として有用であると考えられた.
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