演題

腹腔鏡下幽門側胃切除後のドレーンアミラーゼ値に関する検討

[演者] 島田 麻里:1
[著者] 奥田 俊之:1, 宮永 太門:1, 安部 孝俊:1, 加藤 嘉一郎:1, 平沼 知加志:1, 前田 一也:1, 道傳 研司:1, 服部 昌和:1, 橋爪 泰夫:1
1:福井県立病院 外科・がん医療センター

【背景と目的】胃癌術後の膵液瘻は腹腔内膿瘍や出血,縫合不全などに関連する重篤な合併症である.術後ドレーンアミラーゼ値(以下D-Amy値)は術後膵液瘻の予測因子として用いられており,今回我々は当院における腹腔鏡下幽門側胃切除後のD-Amy値とその推移,臨床的因子との関連について検討を行った.【対象】2015年1月1日から2016年11月30日までに腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した56例.年齢42~91(中央値70)歳.男性28例,女性27例.リンパ節郭清はD1が2例,D1+が45例,D2が9例であった.再建はBillroth-I法を31例,Roux-en-Y法を25例に施行した.術中出血は0~150(中央値20)ml,手術時間は185~427(中央値269)分であった.【方法】全例閉鎖式ドレーンを右季肋部より肝下面に留置した.術後1日目,3日目,5日目のD-Amy値を測定.術後膵液瘻や合併症との関連について検討した.【結果】膵液瘻の国際重症度分類(ISGPF分類)を用いて評価すると,術後3日目以降のD-Amy値が血清Amy値の3倍(当院では390IU/L)以上の症例は6例(10.7%)であり,GradeAが1例,GradeBが5例であった.3日目のD-Amy値が血清Amy値の3倍未満であった群では臨床的にも膵液瘻は認めなかった.膵液瘻群(n=6)と非膵液瘻群(n=50)で1日目のD-Amy値は中央値3209(347~98704) vs 562(67~3655)(p≦0.01),3日目のD-Amy値は中央値 831(400~25915)vs 109(27-373)(p≦0.01)と有意差を認めた.治療を要した膵液瘻5例で3例(60%)に腹腔内膿瘍,SSI,イレウスなどの合併症を認めた.非膵液瘻群で1日目のD-Amy値が1000以上であった症例は16例(32%)認めたが,3日目のD-Amy値で基準未満に低下し合併症は認めなかった.3日目に基準未満であった症例で5日目以降にD-Amy値が基準以上に上昇することはなかった.また郭清の違いやBMIとD-Amy値の相関は認めなかった.【結語】今回の検討では3日目のD-Amy値が治療を要する膵液瘻の発生を予測する因子となり,有用な指標となると考えられた.5日目のD-Amy値は3日目で基準未満に低下した群では基準以上に上昇することはなく,合併症が発生する確率は低いため測定する意義は低いと思われた.
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