演題

胃癌における胃全摘術後膵液瘻の検討

[演者] 赤池 英憲:1
[著者] 河口 賀彦:1, 高橋 和徳:1, 平山 和義:1, 芦沢 直樹:1, 中田 祐紀:1, 土屋 雅人:1, 細村 直弘:1, 藤井 秀樹:1
1:山梨大学医学部 外科学講座第一

(目的)膵液瘻は,胃癌術後の合併症の一つであり重篤化すると入院が長期化し,時には致死的にもなり得る.このため膵液瘻を起こさないこと,起こした場合には重篤化させないことが大切である.当科における胃癌術後の膵液瘻の検討を行った.
(対象と方法)2012年9月から2016年11月までの期間に当科で胃癌に対して胃全摘術を施行した88例のうち,術後1日目(D1)および術後3日目(D3)のドレーン排液中アミラーゼ値(amy)を測定しえた77例を対象とした.膵液瘻の判定にはClavien-Dindo分類を用いた.ドレーンが複数挿入された症例ではD3amyが最も高い部位のドレーンを検討対象とした.
(結果)年齢中央値は71歳(29-94),性別は男/女が52/25例,BMI中央値は21.42(14.31-31.68)であった.手術時間中央値は403分(217-727),出血量中央値は678ml(30-2365),腹腔鏡/開腹は16/61例であり,脾摘施行の有/無は34/43例であった.膵液瘻は25例認めGrade I/II/IIIは9/6/10例であり,D1までにドレーンのポートワイン様変化(P変化)を認めたものは16例であった.膵液瘻発生例では,これらの因子のうち脾摘を施行したもの,P変化を認めたものが多かった(p<0.01).さらに膵液瘻発生例ではD1amyおよびD1のドレーン排液中のリパーゼ値(D1lipa),血清WBC,CRPが有意に高く(p<0.01),これらを膵液瘻GradeI,IIとGradeIIIで比較するとD1amyとD1lipaがGradeIIIで高かった(p<0.05).D1amyおよびD1lipa をGradeIIIの膵液瘻の発生予測因子と考えROC曲線を算出すると,D1amy:2978U/l(感度80.0%,特異度92.5%),D1lipa:15420IU/l(感度80%,特異度93.9%)であった.
(考察)胃癌における胃全摘術後の膵液瘻の発生因子として脾摘があげられ,脾門部の処理を行う際には細心の注意が必要であると考えられた.また,膵液瘻GradeIIIを認めた症例の多くではドレーンの感染を認めており(8/10例),膵液瘻GradeIIIが予測されるD1amy:2978U/l,D1lipa:15420IU/l以上の症例に対してはD1からの広域抗生剤の予防投与とドレーン感染前の早期抜去を行うことが今後の検討課題と考える.
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