演題

併存症を有す胃癌患者に対する胃切除後の手術成績と予後についての検討

[演者] 羽入 隆晃:1
[著者] 市川 寛:1, 石川 卓:1, 宗岡 悠介:1, 大渓 隆弘:1, 永橋 昌幸:1, 坂田 純:1, 小林 隆:1, 亀山 仁史:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

[目的]
併存疾患を有す胃癌患者における胃切除術の短期・長期成績について検討する.
[対象・方法]
2000年~2015年に新潟大学医歯学総合病院で初発胃癌に対して胃切除術を施行した762例を対象とした.残胃癌および局所切除例は除外した.併存症の定義は Charlson Comorbidity index scoreをもとにリスク分類し,score 0 / 1-2 / 3以上をそれぞれLow (n=472) / Middle (n=242) / High (n=48) 群に分類した.臨床病理学的特徴および手術成績,遠隔成績について後方視的に検討した.観察期間の中央値は56か月(1-196か月)であった.
[結果]
年齢中央値は Low / Middle / High 群(以下この順に記載)で 66 / 70 / 73歳であり,高齢者ほど併存症を有していた.男:女比は 322:150 / 188:54 / 39:9例であり,男性ほど併存症を有していた.郭清度は D1:D2がそれぞれ 259:213 / 171:71 / 42:6例であり,併存症を有す場合には郭清度が手控えられたものと考えられる.
術後在院日数は中央値 15 / 16 / 19日であり併存症患者ほど長期入院を要していた.術後合併症(Clavien-Dindo分類GradeII以上)の発生率は21.0 / 30.2 / 29.2%であり, 併存症を有す場合の合併症率は有意に高率であった(P=0.019).
5年全生存率は 80.3% / 71.4% / 53.1% と併存症が少ないほど予後良好であったが (P<0.001),5年疾患特異的生存率は83.9% / 86.0% / 77.1%と有意な差を認めず(P=0.403),併存症を有す患者ほど他病死が多いことを示していた.併存症を疾患カテゴリーに分類してその有無で生存分析を行うと,呼吸器疾患(HR 1.488, 95%CI 1.190-1.860, P<0.001),腎疾患(HR 1.768, 95%CI 1.414-2.209, P<0.001),脳神経疾患(HR 1.818, 95%CI 1.011-3.268, P<0.001)が特に有意な予後因子であった.
[結語]
併存症を有す胃癌患者では他病死が多く,Charlson Comorbidity index scoreはリスクの層別化に有用と考えられる.術前Highリスクと判定される患者においては他病死の可能性を考慮した上で慎重に術式決定すべきである.
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