演題

当科における非治癒切除因子を持つ高度進行胃癌に対して行ったコンバージョン手術の検討

[演者] 進藤 幸治:1,2
[著者] 永井 英司:1, 森山 大樹:1, 大内田 研宙:1, 永井 俊太郎:1, 宮坂 義浩:1, 真鍋 達也:1, 大塚 隆生:1, 清水 周次:1, 中村 雅史:1
1:九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学, 2:九州大学病院 先端医療イノベーションセンター

非治癒切除因子を持つ切除不能癌に対して化学療法を行った後,非治癒因子が消失するとコンバージョン手術を行うことが可能となる.近年,化学療法の発達により可能となった進行胃癌に対するコンバージョン手術の症例が蓄積されつつある.今回,当科にて治癒切除不可能と考えられた高度進行胃癌症例に対し化学療法後,腹腔鏡手術で治癒切除可能となった症例を,2012年以降で8例経験したのでその有用性を検討した.高度進行胃癌の8例,年齢48-83(中央値66.5),男性:女性(3:5)に対して化学療法を行った.6例は審査腹腔鏡を初回手術とし,腹水細胞診陽性や播種病変などの非治癒因子が陽性であったため,この時点での胃切除は行わず化学療法の方針となった.また,うち2例は栄養状態を含めた全身状態の改善を目的として,胃―空腸バイパスも同時に施行した.初回手術後,約1週間で化学療法の開始が可能となった.また,8例中2例は術前画像診断上で非治癒切除因子を指摘され(肝転移疑い1例,傍大動脈リンパ節転移疑い1例),化学療法となった.全例で生検組織や審査腹腔鏡時に切除された播種病変によりHER2検査を行い,1例はHER2陽性であったためHER+XP療法を,他7例は陰性であったためTS-1+CDDP療法を行った.化学療法2kur(1例は3kur)終了後,画像的評価による効果判定を行い,PRであったため手術に臨み,術中の所見を元に根治的胃切除可能かどうかを判断した.腹水細胞診陰転化を含めて非治癒切除因子のないことを確認し,腹腔鏡下胃切除とD2リンパ節廓清を行った.全8症例においてR0切除が可能であった.胃切除術の合併症もなく,術後在院日数は約10日間であり,術後早期に化学療法再開が可能であった.腹腔鏡下胃切除は,審査腹腔鏡から根治切除術への移行が可能であり,手術からの回復が早く,残院日数の縮小や化学療法の早期再開が見込める非常に有用な手術法である.非治癒切除因子が限定的な場合,コンバージョン手術を念頭において早期の化学療法開始を含めた治療方針を立てることが肝要である.
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