演題

腹臥位胸腔鏡下食道切除術における縦隔リンパ節郭清手技~助手の役割と合併症予防対策

[演者] 中野 徹:2
[著者] 櫻井 直:1, 谷山 裕亮:1, 瓶子 隆弘:1, 武山 大輔:1, 丸山 祥太:1, 今野 卓朗:1, 小関 健:1, 亀井 尚:1
1:東北大学大学院 先進外科学, 2:東北医科薬科大学病院 消化器外科

はじめに
胸腔鏡下食道切除術が本邦に導入され20年以上経過した現在,全食道癌手術の約40%が胸腔鏡下に施行されている.当科では1995年から左側臥位胸腔鏡下食道切除術を516症例に施行し,2012年から半腹臥位胸腔鏡下食道切除術を142例に施行してきた.
目的
当科で施行している半腹臥位胸腔鏡下食道切除術における縦隔リンパ節郭清の手技を供覧するとともに,助手の積極的関与の有用性と治療成績について検討する.
手術手技
全身麻酔下に患者を半腹臥位にする.患者の右上肢は挙上し,左上肢は患者の腹側に位置させる.両肺換気下に右胸腔に6-10mmHgの気胸圧にて術野を得る.トロッカーは9,8,7,5,3肋間の5ポートを基本としている.
術中反回神経刺激装置を用いて神経走行を確認している.全例で気管支動脈,胸管の3D画像を構築している.
1.中下縦隔腹側
前面の胸膜を切開し,心嚢面の剥離,気管分岐部のリンパ節の前面の層を剥離しておく.111を郭清する際に術者は横隔膜を尾側に,助手は111を右頭側に牽引している.奇静脈周囲の剥離の際に助手は奇静脈を頭側右側に牽引する.
2.106recR
右反回神経周囲の郭清を行う際に助手は鎖骨下動脈を頭側に牽引し右反回神経の走行を頭側まで追う.
3.中下縦隔背側
背側を剥離切開し112Ao,111pulL,108,110のリンパ節を食道と一塊として切除している.112Aoを郭清の際に助手は大動脈を背側に圧排,111pulLを郭清の際は心嚢面を圧排する.
4.106recL
胸部上部食道にテープをかけ背側につり上げ,気管は鈍的に前方に牽引するとともにいわゆる転がしを行っている.106recLを十分に間膜化した後に食道を切離し,糸針をかけて背側につり上げ,さらに右側方に牽引し気管左側と主気管支から左反回神経と106recLを一塊とし郭清している.
成績
平均年齢65.1±7.1歳.男76%,女24%.Stage(TNM7th)は0/I/II/III/IV:18/27/45/39/13.側臥位で施行された症例と比較して,患者背景に差はなく,胸部手術時間(247±45分),郭清リンパ節個数に差はなかった.胸部出血量(半腹臥位36±29 g,側臥位197±174g),肺合併症,ICU入室期間は有意に減少していた.
結語
適切な縦隔リンパ節廓清のためには,助手の積極的な術野展開が重要である.腹臥位胸腔鏡手術は,術者と助手が同じ術野を共有でき,操作もエルゴノミックであることから協調した手術が可能である.また,術中反回神経モニタリング,3D-CT画像による解剖把握は合併症回避に有用である.
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