演題

局所進行胃癌に対する術前化学療法が術後補助化学療法に与える影響

[演者] 川村 泰一:1
[著者] 幕内 梨恵:1, 入野 誠之:1, 徳永 正則:1, 谷澤 豊:1, 坂東 悦郎:1, 日景 允:1,2, 絹笠 祐介:2, 上坂 克彦:2, 寺島 雅典:1
1:静岡県立静岡がんセンター 胃外科, 2:静岡県立静岡がんセンター

【背景】進行胃癌に対する術前化学療法の効果は本邦で第III相試験(JCOG0501)が進行中で,術後にも補助化学療法を行うことがプロトコール治療である.これまで,術前化学療法の術後化学療法に与える影響について検討した報告はない.【目的】術前化学療法の有無別に,術後S-1による補助化学療法における有害事象,完遂率などについて比較した.【対象・方法】2009.9-2015.10月の間に,局所進行胃癌に対して術前化学療法が行われた39例のうち,R0切除,術後S-1療法が施行された32例(術前・術後化療群).同期間中に術後補助化学療法の適応がある病理学的進行度であった353例のうち,R0切除,術後S-1療法が施行された233例(術後化療群)との間で,手術・化学療法成績について比較した.【結果】術前化学療法の施行理由はbulkyリンパ節転移16例,多発リンパ節転移5例,高度食道浸潤8例,他臓器浸潤6例,大型Type3/Type4胃癌4例(重複あり)であった.治療前背景因子は,術前・術後化学療法群で食道浸潤例が多く,cT,cN因子が高かった(いずれもP<0.001).手術因子は,術前・術後化学療法群で胃全摘(P=0.021),胆嚢以外の他臓器合併切除(P=0.002)の施行頻度が高く,術中出血量が多かった(P<0.001).術後Gr3以上,Gr2以上の全合併症および縫合不全,感染性膵液瘻,腹腔内膿瘍・腹膜炎,肺炎の発症頻度は,両群間で差はなかった.術後補助化学療法の開始時における血液検査では,術前・術後化学療法群はAlb値(P=0.008),Hb値(P=0.005)が有意に低値であった.化療施行期間中の平均施行コース数,S-1規準投与量からの平均減量回数,完遂率は,術前・術後化学療法群で6.4コース,0.7回,67%,術後化学療法群では6.2コース,0.8回,71%で,いずれも両群間で差はみられなかった.有害事象は術前・術後化学療法群でGr3以上の血液毒性の発症頻度が高かったが(P=0.010),非血液毒性の発症頻度は両群間で差はなかった.【結語】局所進行胃癌に対する術前化学療法は,術後S-1による補助化学療法の完遂率に影響を与えなかった.術後補助化学療法中の有害事象として,Gr3以上の血液毒性に留意すべきと考えられた.
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