演題

当院での胃癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清の成績

[演者] 田中 賢一:1
[著者] 野木 雄也:1, 岡本 大輝:1, 有馬 純:1, 藤川 正隆:1, 裏川 直樹:1, 権 英寿:1, 武部 敦志:1, 新関 亮:1
1:済生会中津病院 外科

初めに:胃癌に対し,術前診断で大動脈周囲リンパ節転移を伴わない症例への拡大郭清については,我が国の第Ⅲ相試験により否定されている.また,大動脈周囲リンパ節転移と診断された症例はStageⅣとなり,根治を目指した手術の適応外となる.胃癌治療ガイドラインのクリニカル・クエスチョンでは少数のリンパ節腫大がNo16a2,16b1に限局して認められ,他の非治癒因子を有さない場合,拡大郭清を伴う外科的切除を含む集学的治療が提案されるとされている.当院で胃癌に対して大動脈周囲リンパ節郭清を行った症例の検討から,その意義を検討する.
対象と方法:2010年1月から2015年3月までに胃癌に対して大動脈周囲リンパ節郭清を行った110例(D3群)を対象とし,同時期にD2を施行した,355例(D2群)と臨床病理学的因子について比較検討した.
結果:D3群は男52例,女48例,平均64.8歳,D2群は,男253例,女102例,平均69.6歳で,D3群が有意に若年であった.術式は,幽門側切除,全摘の順に,D3群54例,56例,D2群221例,134例で,D3群で全摘例が多かった.平均手術時間は,D3群390分,D2群334分で,D3群で長かった.平均出血量は,D3群378ml,D2群345mlで有意差はなかった.平均リンパ節郭清個数は,D3群99.0個,D2群64.7個で,D3群で多かった.#16リンパ節郭清個数は,平均11個であった.転移陽性例は14例(12.7%)であった.fStageⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの順に,D3群:23例,24例,35例,25例,D2群:186例,56例,66例,47例であった.Clavien Dindo classⅡ以上の術後合併症は,D3群45例(40.9%),D2群135例(38%)であった.術後平均在院日数はD3群28.6日,D2群44.9日で,有意差はなかった.
考察:大動脈周囲リンパ節郭清は,若年の進行症例で全摘術症例に適応される傾向があった.
手術時間の延長は認めたが,出血量,合併症率,在院日数に差を認めず,認容性はあると考える.予後追跡が不十分なため予後解析ができないが,#16リンパ節転移陽性14例中,5年以上生存を2例認めることより,症例によっては有用と考える.
結語:胃癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清はfeasibleであるが,至適適応を厳密に検討する必要があると考える.
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