演題

当科におけるStageⅣ胃癌に対する手術療法の検討

[演者] 加藤 知克:1
[著者] 小林 建司:1, 森本 翔太:1, 廣川 高久:1, 柴田 直史:1, 花立 史香:1, 清水 幸雄:1, 松波 英寿:1
1:松波総合病院 外科

StageⅣ胃癌に対する治療法は化学療法,放射線治療,緩和手術,対症療法などの選択肢があるが主な治療は化学療法である.しかし腫瘍による出血,穿孔,通過障害などを理由に手術が行われることや,術中所見で初めてStageⅣと診断されることがある.このように外科医がStageⅣ胃癌に関与する時は多様な病態が起こっていることが多い.その際,当科では切除を試みる場合もあれば試験開腹のみの場合もあるなど術式の選択や対応は術者のその場の判断に任されていた.しかし最近では化学療法の導入に重きを置き無症状例には試験開腹術が選択されることが多くなった.そのためStageⅣ胃癌に対し原発巣切除は回避すべき術式なのか検討した.
2010年1月から2015年12月の期間に当科で手術が施行された胃癌289症例のうちStageⅣであった41症例を対象とした.原発巣切除群(A群)28症例と原発巣非切除群(B群)13症例に分け検討した.A群で術前化学療法が施行された症例は6例であった.R0切除が行われた症例が5例,その他23例はR1/R2切除であった.また出血,狭窄など有症状のため切除を行った症例は13例であった.B群で施行された術式は試験開腹術が8例,バイパス術が4例,人工肛門造設術が1例であった.生存期間中央値(MST)はA群で463日,B群で269日であったが有意差は認めなかった.しかしR0切除が行われた5例中3例は生存期間2年以上の長期生存例であった.ただR0切除を行った症例でも3例は術後化学療法が施行されていた.術後化学療法が施行されたのは41例中27例であった.術後化学療法施行群のMSTは646日,非施行群は128日と有意に化学療法施行群で延長を認めた.化学療法施行例はA群で17例,B群で10例であり導入率に有意差は認めなかった.化学療法導入の時期はA群で術後24.7日,B群で術後12.4日と有意差を認めた.
予後の延長には化学療法の施行が重要であり,術式の選択も化学療法施行を前提に行うべきである.術後化学療法の導入は遅れるが原発巣切除を施行しても導入率と生存期間には差は認めなかった.またR0切除を行なえば予後を延長させる可能性もある.後の出血,穿孔などの危険性を軽減することを考慮すると原発巣切除も十分選択されるべき術式であると考えられた.
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