演題

腹臥位胸腔鏡下食道切除における発生学に基づいた上縦隔リンパ節郭清

[演者] 大幸 宏幸:1
[著者] 藤田 武郎:1, 藤原 尚志:1, 岡田 尚也:1, 佐藤 琢爾:1, 堀切 康正:1, 佐藤 中:1, 海藤 章郎:1, 木下 敬弘:1
1:国立がん研究センター

はじめに
内視鏡外科手術の最大の利点である拡大視により,発生学に基づいた解剖構造に沿った手術が行われ始めている.上縦隔は前腸由来の気管と食道を包む臓器鞘により,気管食道動静脈と交感神経が走行するvascular layerとその内側で気管,食道,反回神経とリンパ節を含むvisceral layerから構成されている.また,上縦隔リンパ節は,左右の反回神経リンパ節,No.105,No.106tbLで構成されているが,No.105は右反回神経周囲リンパ節郭清とNo.106tbLは左反回神経周囲リンパ節と同じ層内にあり連続して郭清される.発生学に基づいた気管食道の臓器鞘と「受け」を利用した上縦隔リンパ節郭清を紹介する.
【右反回神経周囲リンパ節郭清】
ステップ1:気管膜様部気管固有鞘温存による気管食道間の「受け」の作成と反回神経の遊離.ステップ2:気管食道を包む臓器鞘によりvascular layerとvisceral layerとに層別化し,「受け」を利用しながら反回神経を同定する.ステップ3:visceral layer内で反回神経周囲リンパ節郭清を行う.
【左反回神経周囲リンパ節郭清】
ステップ1:上部食道のテーピングによる牽引により気管食道間の術野を確保する.ステップ2:臓器鞘を「受け」に左反回神経を含む組織を食道側に集約する.ステップ3:反回神経の食道枝温存により反回神経に緊張をかけながら周囲リンパ節を郭清する.
結果
2008年から2015年間に腹臥位胸腔鏡下食道切除術を行い463例に行い,胸部手術時間中央値は215分,16例に開胸移行を行った.周術期合併症率と在院死亡率は42%と0.3%であり,反回神経麻痺率と肺炎率は15%と3%であった.
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