演題

大腸癌肝限局性同時転移症例の検討

[演者] 小島 康知:1
[著者] 住谷 大輔:1, 原野 雅生:1, 中野 敢友:1, 井谷 史嗣:1, 佐藤 太祐:1, 丁田 泰宏:1, 松川 啓義:1, 塩崎 滋弘:1, 岡島 正純:1
1:広島市立広島市民病院 外科

大腸癌肝転移に対してガイドラインでも,「肝切除は選択された症例に対しては他の治療法では得られない良好な成績が示されている」と記載され, 肝転移の中には治癒が期待できるStageIV症例も含まれている.しかし単発の肝転移でも,原発巣と同時切除後,早期再発する症例も経験する.大腸癌に対して手術施行した肝臓限局の同時性肝転移症例を対象とし, Beppuらが報告したノモグラムを使用し当科での治療方針を検証し,術前化療および術後捕助療法の影響に関して検討した.ノモグラムは,1.同時性,2.リンパ節転移の有無,3.転移個数,4.転移最大径,5.肝外病変の有無,6.CA19-9の値から算出する.
結果:2007年1月から2014年12月まで手術施行した,初発大腸癌1486例中 fStage IV 症例は221例 そのうち肝臓限局の遠隔転移症例は77例であった.全77例の5年生存率は52%で, 肝転移の程度は H1:50例,H2:13例,H3:14例であった.それぞれの5年生存率はH1:58%, H2:45%, H3:26%であった.肝転移Grade別の検討では, A:39例,B:16例,C:19例,不明3例で,5年生存率はGrade A:65% Grade B:50% Grade C:26%であった.Beppuらが報告したノモグラムの点数は全症例で最低3点,最大21点で,中央値は10点であった.
全77例をノモグラムの点数にて, A群(3-7点),B群(8-13点),C群(14-21点)に分類検討した.それぞれの症例数はA/B/C:27/20/30であり,肝切除可能であった症例はA群19例(同時切除7例,異時切除12例)異時切除12例中9例に肝切除前に化学療法を, B群12例(同時5例,異時7例)異時切除7例中6例に肝切除前に化療を,C群は4例(同時1例,異時3例)異時切除の全例に肝切除前に化療をおこなった.5年生存率はA群:71%, B群:54%, C群:31%であった.肝切除例の5年無再発生存率はA群:45%, B群:25%, C群:0%であった.
また肝切除可能であった35例を術前化学療法(N) 術後捕助療法(A)の有無にて検討した.N有群(n=18)の5yOS 73% , N無群(n=17)の5yOS 86%, A有群(n=21)の5yOS 95% , A無群(n=14)の5yOS 53% で有意に捕助療法有り症例で予後良好であった(p=0.01).
まとめ:BeppuのノモグラムによるA群は切除可能症例群と考えられ,肝切除の位置づけが大きく,切除の時期を逃がさないよう注意すべきである.B群は抗癌剤治療を含めた集学的治療により予後の延長が得られる可能性がある.C群は抗癌剤治療によりconversion therapyを期待するべきと思われた.また可能な症例には捕助療法を施行すべきと思われた.
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