演題

大腸癌肝転移に対する適切な治療戦略立案を目指して

[演者] 廣川 文鋭:1
[著者] 林 道廣:1, 朝隈 光弘:1, 清水 徹之介:1, 井上 善博:1, 内山 和久:1
1:大阪医科大学大学院 一般・消化器外科学

大腸癌肝転移(CRLM)に対しては,肝切除が最も有効な治療手段であるが,大腸(直腸)癌に対する化学療法の進歩は著しく,切除不能大腸癌の化学療法による生存中央値が2年を越える時代に突入している.今回その治療戦略を考える上で,当科における肝転移症例の特徴を様々な方面から検討した.
【対象】 2006年から2014年11月までに当科で施行した肝切除症例は254例で,初回/再肝切除は201/53例であった.また,R0/R1/R2切除は,各々189/52/13例であった.
肝転移時期や根治度別の予後,再肝切除の意義,生存に寄与する因子と周術期化学療法の意義等についいて検討した.
【結果】 1.原発巣切除から肝転移までの期間による生存曲線に差は認めず.根治度別では,R R0/R1切除間には差を認めず,R2切除で生存中央値13.9ヶ月と不良であった.また遠隔転移を伴う症例においても,R1切除が得られれば,予後に影響はなかった.初回・再肝切除後の予後は両群間に差を認めなかった.
2.初回肝切除症例における予後不良因子は,原発巣T4/リンパ節転移,H2転移であった.また,危険因子により2群に分け,周術期化学療法の効果を検討したところ,Low risk群では差を認めず,High risk群では周術期化学療法で予後が改善した(p=0.036).
3.前述のHigh risk群+H2転移群での術前化学療法と効果の有無別検討では,3群間の予後に差を認めなかった.
【結論】 当科の検討では,手術治療のpowerは絶大で,R1以上の切除を得ることが重要であった.化学療法に関しては,症例を選択して行うことが重要で,なかでも術前化学療法は,予後不良が予測される症例において,患者選別と言う意味では施行の意義があると考える.いずれにしろ,CRLMの治療戦略立案において,大規模dataでの解析が必要不可欠である.
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