演題

当科における括約筋間直腸切除術(ISR)の治療成績の検討

[演者] 中田 頌子:1
[著者] 榎本 剛史:1, 中橋 宏光:1, 木村 聡大:1, 小川 光一:1, 大原 佑介:1, 明石 義正:1, 久倉 勝治:1, 大河内 信弘:1
1:筑波大学附属病院 消化器外科

【背景】ISRは,下部直腸腫瘍に対する肛門温存術式として,現在行われるようになっている.腹会陰式直腸切断術を回避できる,腫瘍下縁・歯状線を直視下に観察することによる確実なDMの確保が可能である点などの利点を有する一方で,技術的に困難で,排便機能や根治性などの長期成績も明らかではない.
【目的】ISR導入後の治療成績について検討
【方法】2012年よりISRを導入した.適応は,直腸癌および神経内分泌腫瘍に関しては,深達度T2まで,歯状線より2cm以上口側の病変で,狭骨盤などによりDSTにて再建が出来ない症例とした.これまでに施行した開腹あるいは腹腔鏡下ISRの症例を,手術時間,出血量,遠位切離端の距離(DM),Wexner Scoreによる便失禁の評価,術後再発の有無についてretrospective検討した.
【結果】
ISR施行例は2016年11月の時点で11例(開腹5例,腹腔鏡下6例),6例が直腸癌(T1b 3例,T2 1例,T3 4例),3例が神経内分泌腫瘍,2例がGISTであった.平均手術時間は360分(開腹486.8分,腹腔鏡下254.8分),平均出血量504.5ml(開腹968.5ml,腹腔鏡下118.3ml),DMの平均値は11.7mm(開腹15mm,腹腔鏡下11.5mm)となった.肛門の排便機能に関しては,人工肛門閉鎖術後よりWexner scoreは緩徐に改善傾向がみられており,術後3か月では平均値が10点以下となった.アンケートの結果「人工肛門閉鎖後のほうが,人工肛門であるときと比べて良い」という回答の割合は100%であった.
現在までに,全例局所再発を認めず,遠隔再発においても,GIST症例で多発肝転移を1例に認めるのみであった.
【結語】
当科におけるにISR術後の短期治療成績を報告した.術後排便機能や局所再発率は耐容できる成績であり,今後はさらなるフォローアップと症例の蓄積が必要と考える.
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