演題

前方骨盤内臓全摘術の短期治療成績

[演者] 眞部 祥一:1
[著者] 山口 智弘:1, 絹笠 祐介:1, 塩見 明生:1, 賀川 弘康:1, 山川 雄士:1, 坂東 悦郎:2, 杉浦 禎一:2, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:2
1:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【はじめに】骨盤内臓全摘術(TPE)は,泌尿生殖器への高度浸潤を伴う局所進行大腸癌や骨盤内再発病変に対して選択される.しかしながら手術侵襲が大きく,尿路変更やダブルストマの問題により術後QOLの低下を伴う.腫瘍の局在によって肛門温存が可能な症例に対しては,前方骨盤内蔵全摘術(APE)が選択されうるが,その適応や治療成績の詳細な報告は少ない.【目的】APEの治療成績を明らかにすること.【対象と方法】2003年9月から2016年9月,当院において原発性大腸癌に対してAPE,またはTPEを施行した56例を対象とした.APE群29例とTPE群27例で,患者背景,腫瘍因子,術前状態,手術成績を比較検討した.【結果】患者背景は,APE群とTPE群で,年齢,性別に差を認めなかった.腫瘍の主占居部位は,APE群S・RS・ Ra/ Rb・P 28/ 1例,TPE群12/ 15例で,APE群でより高位の症例が多かった(p<0.01).術前浸潤臓器は,APE群/ TPE群で膀胱が23/ 5例(p<0.01),精嚢・前立腺が,7/ 22例(p<0.01)であった.術前化学療法をAPE群/ TPE群5/ 1例,術前化学放射線療法を3/ 3例に施行.術前ストマ造設をAPE群12例(41.4%),TPE群9例(33.3%)に施行.APE群は,術前に尿路感染症を16例(55.2%)に合併.手術時間(中央値)は,APE群/ TPE群で,539/ 588分(p=0.09),出血量 1451/ 1994ml (p=0.24),術後在院日数 17/ 21日(p=0.12).原発巣の癌遺残は,APE群は全例R0,TPE群はR1/ 2を4/ 1例認めた.周術期死亡は両群とも0例.Clavien-Dindo grade 3以上の合併症は,APE 6例(20.7%),TPE 3例(11.1%)であった(p=0.47).APE群の1例(3.4%)で縫合不全を認め,腹腔内膿瘍(骨盤死腔炎)をAPE群4例(13.8%),TPE群11例(40.7%)に認めた(p=0.03).APE群29例のうち,再建を施行しなかった8例(Hartmann手術)を除く21例のうち,diverting stomaを16例(76.2%)に造設,最終的に15例(71.4%)でダブルストマを回避可能であった.【結論】APEは,より高位の高度局所進行大腸癌に対して選択され,その短期治療成績は許容されるものであった.ダブルストマの回避は患者のQOL改善につながるため,術前状態や腫瘍の局在などを総合的に判断し,肛門温存が可能な症例には,本術式は有用な選択肢になりうると考える.
詳細検索