演題

当院における下部直腸癌の治療成績の検討

[演者] 高野 道俊:1
[著者] 西村 洋治:1, 竹ノ谷 隆:1, 石井 博章:1, 西澤 雄介:1, 風間 伸介:1, 坂本 裕彦:1
1:埼玉県立がんセンター 消化器外科

【背景】現在の大腸ガイドラインおよびJCOG0212の結果から,腫瘍下縁が下部直腸に存在する進行直腸癌に対しては側方郭清が標準治療とされているが,側方郭清によって手術時間の延長や出血量の増加といった不利益もあり適応症例全例に施行すべきかどうかは検討すべき余地があると思われる.【目的】当院における下部直腸癌の根治切除症例の予後を検討し側方郭清の効果を検証するとともに術前診断において病理学的側方リンパ節転移陽性例を抽出する因子を検討した.【方法】2006年から2016年までの当院における下部直腸癌のリンパ節郭清を伴う手術を施行した435例のうち,StageⅣを除く根治手術を施行した381症例の臨床病理学的および長期成績について検討を行った.年齢の平均値は63.6±9.6歳,BMIの平均値は22.1±3.1kg/cm2であった.男性276例,女性105例,肛門縁からの距離の平均値は5.2±1.9cmであった.術前病期診断はStage Ⅰ/Ⅱ/Ⅲa/Ⅲbでそれぞれ142/95/93/51例であった.術前治療例は38例に施行され,化学療法が3例,化学放射線療法が24例であった.側方郭清は245例に施行され両側/片側が180/65例であった.予後に関する検討項目は側方郭清の有無と全生存期間(OS),無再発生存期間(RFS)とした.さらに術前側方リンパ節転移陰性症例について,病理学的側方リンパ節郭清陽性例の危険因子を検討した.【結果】それぞれのpStageにおける5年生存率はStageI/II/IIIa/IIIbで95/91/77/73%であり,5年無再発生存率はそれぞれ90/77/67/53%であった.それぞれのpStage毎の側方郭清施行の有無によるOS,RFSに有意な差は認めなかった.また,pStageIIIbにおいて側方リンパ節転移陽性症例では陰性症例に比し局所再発率は23%と有意に多かった.術前側方リンパ節転移陰性症例のうち側方リンパ節転移を認めたのは10例(2.9%)あり,cT3以深では4.6%,cN2症例においては8.3%と有意に側方リンパ節転移が多かった.【結論】当院における下部直腸癌の治療成績を検討した.側方リンパ節郭清は全生存,無再発生存には寄与しないが,高度進行症例に関して局所再発率を低下させる可能性が示唆された.また,術前側方リンパ節転移を指摘されていない症例に関しても転移を認める症例もあり,局所制御のために予防的側方郭清は一定の効果がある可能性が示唆された.
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