演題

直腸癌に対するHALSの有用性; 本邦単一施設からの最終結果報告

[演者] 田島 隆行:1
[著者] 向井 正哉:2, 小池 卓也:2, 横山 大樹:2, 宇田 周治:2, 吉井 久倫:2, 長谷川 小百合:2, 和泉 秀樹:2, 野村 栄治:2, 幕内 博康:2,3
1:東海大学付属大磯病院 外科, 2:東海大学付属八王子病院 外科, 3:東海大学医学部 消化器外科学

【はじめに】近年,本邦では完全鏡視下手術(以下 pure-laparo.)が著しく普及した.しかし,欧米では直腸癌(RC)に対するpure-laparo.は,高難度であり腫瘍後面の剥離断端(CRM)や肛門側断端長(AW)の確保について強く警鐘を鳴らす論文も散見されている.一方,RCに対する定型開腹手術(CL)では,仙骨前面から腫瘍後面/肛門側に左手が入り,術中に安堵感を覚えたことがある外科医は多いはずである.用手補助腹腔鏡下手術(HALS)では,従来からの左手操作を温存し,CLでは観察困難な前立腺尖部から尿道膜様部近傍の骨盤底深部前壁に至るまで,カメラモニター下で鮮明且つ安全/確実に操作が可能となる.従って, 近年のHALSはCLとpure-Laparo.の中間に位置する合理的なハイブリッド手技と考えられている.【対象/方法】現在までに原発性直腸癌で根治治癒切除術が施行された病理学的 stage I/II/III; 計111例において,HALS群57例とCL群54例の2群に分類し,術後3年の無再発生存期間(RFS)および全生存期間(OS)につき,術中出血量/合併症や術後在院期間等の周術期短期成績, および生存成績を含めた中間解析結果について, CLとの同等性を報告してきた. 今回はこれら111例の術後5年RFSおよび5年OS,再発様式について最終解析を行った.【結果】患者の術後5年追跡期間は全95.5%(HALS; 94.7%,CL; 96.3%)で, 患者背景では性・年齢・直腸部位・術式・病理学的stageおよび術後補助療法の治療設定等のいずれにおいても差異は認めなかった. 5年RFSはHALS 82.5%, CL 67.7% (p=0.084), 5年OSは HALS 92.9%, CL 73.7% (p=0.005)であった.再発様式では,肝(HALS 7.0% 4例/CL 7.4% 4例)(p=1.000),肺((HALS 3.5% 2例/CL 9.3% 5例)(p=0.263),骨盤内局所(HALS 5.3% 3例/CL 3.7% 2例)(p=1.000), その他(HALS 1.8% 1例/CL 5.6% 3例)(p=0.355),総計(HALS 17.5% 10例/CL 25.9% 14例)(p=0.358)で,HALSからCLへの移行症例は認めなかった. 5年OSでは, 年齢面でCLと有意差は認めなかったが(p=0.095),平均値は2-3歳高齢で併存疾患の関与も示唆されたが, 5年RFSでも両群間に差異を生じる傾向が認められた(p=0.084). 再発様式では, 局所再発を含め差異は認めなかった.【結語】これらの結果から直腸癌に対する近年のHALSは,CLに比し生存成績は良好で,低侵襲手術として安全・確実で低コスト,50mmの小切開先行による3-port HALSは整容性を含め極めて有用な手技であると考えられた.
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