演題

左側臥位完全胸腔鏡下食道亜全摘術におけるリンパ節郭清手技と合併症予防の工夫

[演者] 大塚 耕司:1
[著者] 村上 雅彦:1, 五藤 哲:1, 山下 剛史:1, 有吉 朋丈:1, 茂木 健太郎:1, 加藤 礼:1, 渡辺 誠:1, 青木 武士:1
1:昭和大学医学部 消化器・一般外科学

はじめに)当科では食道癌に対する左側臥位完全胸腔鏡下食道亜全摘術を1996年より導入し,一人術者で手技の安定化が得られた後にチームを編成し定型化を行い,これまでに800例以上の経験を積んでいる.手術は耐術能に問題無い深達度T4b以外で,他臓器転移が無い症例を適応とした.この手技は多くの利点がある一方で,手技的難易度が高い欠点を有した.2010年より,従来の方法に人工気胸を併用し,それまでの問題点が改善され,安定した手術成績を得ることができている.

方法)1996年より2016年までに施行された左側臥位完全胸腔鏡下食道癌手術807例の手術成績とともに,前期(1996年~2005年)289例と手技の流れが定型化された後期(2006年~2016年)518例に分けその手術成績について検討した.

結果)全食道癌患者における胸腔鏡下食道癌手術の遂行率は99.5%であり,開胸手術移行は胸部操作における出血症例3例のみであった.全手術における平均胸腔内操作時間は205分,胸腔内出血量は127ml,胸腔内リンパ節個数は24.7個であった.また,術後合併症は肺炎8.5%,縫合不全7.5%,一過性の反回神経麻痺7.8%で,5生率は69.5%であった.前期と後期の比較では,胸腔内出血量は174 vs. 94ml,胸腔内リンパ節個数は20.0 vs 28.4,術後入院期間は33.4 vs. 20.0日と有意差を持って改善した.また合併症としての縫合不全も13.9 vs.1.6%と改善した.

結語)当科における手術成績は後期症例で大幅に改善傾向あったが,手技の定型化が大きな要因であった.現在,食道悪性に対する内視鏡技術認定医3人が中心となり若手食道外科医の育成を行っている.胸腔鏡下手術において拡大視効果を用いて根治性を追求した手技は当然ながら,微細解剖にこだわった合併症ゼロを目指した手技へと変化している.当科ではこれまで左反回神経周囲リンパ節郭清においてCounter clockwise手技の有用性を述べていたが,その安全性を追求することにより胸腔内操作時間の延長も呈していた.現在では,反回神経麻痺をほとんど見ることなく,胸腔内操作時間も2時間ほどで終了可能となっている.当科の手技・手術機器選択の実際を供覧するとともに,さらには定型化された周術期管理と工夫についても供覧する.
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