演題

OSNA法を用いた下部直腸癌側方リンパ節転移予測能の検討

[演者] 池嶋 遼:1
[著者] 山本 浩文:1,2, 畑 泰司:1, 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 西村 潤一:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1,3, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ, 2:大阪大学大学院 保健学専攻 分子病理学, 3:大阪大学大学院 炎症性腸疾患治療学寄付講座

【緒言】
腫瘍下縁が腹膜翻転部より肛門側にあり,かつ固有筋層を超えて浸潤する直腸癌症例に対しては,本邦では直腸間膜全切除(total mesorectal excision:TME)+自律神経温存側方リンパ節郭清(lateral lymph node dissection:LLND)が標準術式とされている.LLNDは手術時間・出血量の増加や,性機能障害および排尿障害などを引き起こすことから,予防的LLNDを行うべき症例を的確に選定することが重要である.傍直腸リンパ節転移(上方向転移)は側方リンパ節転移の強力なリスク因子であることが知られているが,我々は術中に傍直腸リンパ節転移の有無を診断することで側方リンパ節転移の可能性を予測し,不要なLLNDの省略につながるのではないかと考えた.One-step Nucleic Acid Amplification(OSNA)法は乳癌の術中迅速センチネルリンパ節転移診断に広く用いられている.一方で,近年,進行直腸癌に対して術前化学療法を行う臨床試験が盛んに行われており,NAC後でもOSNA法で転移診断ができるかどうかについては未だ明らかでない.
【目的】
術前化学療法施行後でも,OSNA法による傍直腸リンパ節転移診断が,組織学的側方リンパ節転移の予測ツールとなるかどうかを明らかにする.
【方法】
対象は2014年4月から2016年2月に当院でTME+LLNDを施行した,腫瘍下縁が腹膜翻転部以下に達し,固有筋層以深浸潤を伴う直腸癌症例25例.摘出標本に含まれる傍直腸リンパ節を検索し,半分を病理診断に提出し,残った半分を二分割しOSNA診断およびRT-PCR(CEAmRNA)での診断を行った.病理診断とOSNA診断の結果を比較検討した.
【結果】
患者は男性17例,女性8例.年齢は中央値67(49-80)歳であった.腫瘍の主占拠部位はRaが2例,Rbが23例,腫瘍深達度はpT3が23例,pT4が2例であった.22例(88%)で術前に化学療法が施行されており,効果判定はCR:2例,PR:12例,SD:8例であった.OSNA診断による傍直腸リンパ節転移は7例(28%)に認め,病理学的診断と一致していた.病理学的側方リンパ節転移に対する傍直腸リンパ節のOSNA診断は感度100%,特異度86%,正診率88%であり,両者には有意な相関を認めた(p<0.001).また,術前化学療法を施行した22例においても有意な相関を認めた(p<0.001).
【結語】
OSNA法は化学療法施行後でも利用でき,傍直腸リンパ節転移陰性の場合,側方リンパ節陽性例はなく,側方郭清の適応を決める上で有用であると考えられた.
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