演題

直腸癌における所属外リンパ節切除の意義

[演者] 福井 雄大:1
[著者] 戸田 重夫:1, 建 智博:1, 富沢 賢治:1, 花岡 裕:1, 森山 仁:1, 的場 周一郎:1, 黒柳 洋弥:1
1:虎の門病院 消化器外科

【はじめに】
近年,画像診断の進歩とともに,所属外リンパ節腫大を認める直腸癌症例を散見するようになった.同時性遠隔転移を伴わず,非治癒因子が所属外リンパ節のみであった場合,切除すべきか判断に苦慮する場合がある.当科では長径7mm以上の所属外リンパ節腫大を認めた場合には転移と判断し,積極的に切除を行う方針としている.
【目的】
直腸癌における所属外リンパ節切除の意義を検証することを目的とする.
【対象と方法】
2009年1月から2016年7月の間に,所属外リンパ節腫大を有し腫瘍下縁が腹膜飜転部より口側に存在する直腸癌で,R0切除可能であった症例のうち,遠隔臓器転移および腹膜播種症例を除外した30例を対象とした.これらは全例腹腔鏡下に行い,開腹移行は認めなかった.
【結果】
腫瘍部位はRs/Raが12例/18例で,リンパ節腫大部位はno.216/no.280/no.263/no.283/no.293が 18例/4例/2例/5例/1例 であった.病理学的に転移を認めたものは7例で,転移部位はno.216/no.280/no.293が 4例/2例/1例であった.組織型はtub1/tub2/porが11例/17例/2例,壁深達度はT1b/T2/T3/T4a/T4bが1例/5例/16例/7例/1例であった.観察期間の中央値は26ヶ月で,no.216切除例のうち6例(33%),no.293切除例のうち1例(100%)に再発を認めたが,no.280切除例は4例とも無再発生存中である.
【考察】
術前の画像診断にてリンパ節長径7mm以上を転移陽性と判断し,この適応のもと切除を行うと,病理学的に転移を認めたものは30例中6例(正診率は23%)であり,許容されると思われる.さらにPET-CTなどを付加することで,診断の向上が期待される.観察期間は短いが,他の領域と比較してno.280リンパ節切除後の予後は良好であり,他に遠隔転移を認めないno.280リンパ節単独転移であれば積極的に切除を行う意義があると思われる.
【結語】
腫瘍下縁が腹膜飜転部より口側に存在する直腸癌の所属外リンパ節腫大症例に対して,積極的にリンパ節切除を行った.他の領域と比較してno.280リンパ節切除後の予後は良好であり,積極的に切除を行う意義があると思われる.
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