演題

直腸癌リンパ節転移に対する術前画像診断の検討

[演者] 林 裕樹:1
[著者] 金城 達也:1, 西垣 大志:1, 伊禮 靖苗:1, 西巻 正:1
1:琉球大学医学部 消化器・腫瘍外科学

(はじめに)直腸癌リンパ節転移の治療前画像診断はいまだ困難な状況であるが,側方郭清や前治療の必要性について検討する際に重要である.今回,直腸癌リンパ節転移の有無についてCT画像所見にて後方視的に解析し,臨床病理学的因子との関連性を検討した.
(対象)2009年4月-2012年12月までに根治切除術を施行した初発直腸癌で術前治療未施行の64例について検討した.
(結果)年齢:中央値62歳(33-87歳),男女比は46:18,腫瘍局在はRs11例,Ra18例,Rb35例,T1 8例,T2 9例,T3 34例,T4 13例,N0 40例,N1 16例,N2 6例,N3 2例,pStageI 14例,II 23例,IIIa 20例,IIIb 7例であった.
直腸間膜内リンパ節(以下,MLN)927個,側方リンパ節(以下,LLN)307個の計1234個のリンパ節について評価した.LLNは側方郭清を施行した20例について評価した.MLN陽性率は7.12%(66/927個),LLN転移陽性率は1.95%(6/307個),症例別陽性率はMLN 40.6%(26/64例),LLN 10.0%(2/20例)であった.CTで認められるMLN,LLNのうち長径5mm以上を評価対象とし,長径,短径,個数,形態について評価を行った.MLNのうち長径の中央値は7.4mm(5.0-16.7mm),短径の中央値は5.8mm(3.2-16.5mm),個数の中央値は2個(0-12個),形態は円形が中央値1個(0-12個),扁平が1個(0-5個)であった.LLNの長径の中央値は6.7mm(5.5-14.8mm),短径の中央値は5.0mm(4.0-13.8mm),個数の中央値は0個(0-4個),形態は円形が4個,扁平が8個であった.長径および短径のMLN転移診断のArea under the ROC curveはそれぞれ0.75,0.74であり,それぞれのCutoff値を7.4mm,6.3mmと定めた.感度は75.4%,59.6%,特異度は64.7%,75.2%であった.長径7.4mm以上のリンパ節で病理陽性率は49.4%(43/87個),7.4mm未満では16.9%(14/83個),短径6.3mm以上では陽性率54.0%(34/63個),6.3mm未満で21.5%(23/107個)であった.一方で術前画像所見でこれらの陽性基準を満たさない症例においても組織学的に転移陽性であった症例を認めた.特にLLNが転移陽性であった2例を認めた.1例は両側側方郭清を施行.MLN,LLN全て陰性であったが,術後1年後に左283に再発所見あり.再発巣切除術を施行し再手術後66か月,無再発生存中である. 1例は両側側方郭清を施行しMLN陰性,左283に1個転移陽性を認めた.術後54か月無再発生存中である.現在,直腸癌に対する術前治療も広く行われるようになり,より高精度でLLN転移の診断率を向上させることが個別治療の方針決定の一助となる可能性がある.
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