演題

局所進行直腸癌に対する術前化学療法の検討

[演者] 的野 敬子:1
[著者] 荒木 靖三:1, 野明 俊裕:1, 小篠 洋之:1, 家守 雅大:1, 入江 朋子:1, 河野 由紀子:1, 石見 雅人:1, 石見 拓人:1, 赤木 由人:2
1:大腸肛門病センターくるめ病院 消化器外科, 2:久留米大学医学部 外科

はじめに:局所進行直腸癌における術前化学療法の効果および位置付けは明確ではない.当院では,コンバージョンも含め,直腸(Ra-b)におけるRMを確保できない症例(T因子)やR0不能な可能性のあるN因子について術前化学療法を施行している.今回,局所進行直腸癌に対しNACを施行した症例について検討した.
対象・方法:2010年11月~2016年11月までに当院でNACを施行した15例に3コース終了後,効果判定を行い,腫瘍増大,副作用で継続困難症例は,手術.また,腫瘍不変,縮小例はNAC継続もしくは手術へ移行とし,症例の詳細な検討を行った.
結果:15例中12例で手術を施行.非手術症例は1例がcCRで5年間無再発生存,残り2例は切除不能で化学療法継続中(約1年)と死亡した.手術症例12例中6例でT因子が改善,7例でN因子が改善しダウンステージした.レジメンは,Xelox+B-mabが7例と多かった.手術は,APR5例中4例に会陰創感染あり,肛門温存手術7例中5例に縫合不全を認めたが重篤化した症例はなかった.両側側方郭清を8例に施行し1例に転移を認めた.11例で根治度Aであり,1例は,側方リンパ節転移(3cm大)による尿管閉塞を認めた症例で,副作用で治療継続困難であったため,原発巣切除可能となった時点で手術となり根治術施行不可能であった.組織学的効果判定は,Grade2が2例,1aが3例,1bが2例,0が4例であった.術後ステージⅢ以上であった8例中6例に術後補助療法を施行し,3例で完遂し,現在までに再発なし.5例で再発を認め,骨盤内リンパ節転移2例と,肺,肝,局所(切除可能)であった.G3以上の副作用を2例に認めた.
考察:NACによりR0手術が可能であり,全例でRM0でありNACが原発巣縮小に寄与していた.ダウンステージした症例7例中5例でT因子の改善も認め,また,副作用で継続困難症例もあり,NACを施行することで再発時の治療が予見できると思われた.
術前に側方リンパ節転移を疑う症例に1例転移を認めたのみで,予防的側方リンパ節郭清の必要性の有無の検討が重要であると考えられた.術後合併症が多い原因として,化学療法の期間やレジメンの再考が必要と思われた.術後補助療法完遂症例で再発がないことから,術後補助療法の効果の可能性もあった.
結語:今後,以上の結果を念頭にいれ,症例を重ねたうえで,適切なNACのコースおよびレジメンの検討が必要である.
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