演題

術前化学療法を施行した直腸癌切除症例の検討

[演者] 大内 繭子:1
[著者] 宮本 裕士:1, 中村 健一:1, 岩槻 政晃:1, 馬場 祥史:1, 坂本 快郎:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

【背景】直腸癌に対する術前補助療法はと局所再発率の低下が示されているが,生存率の向上は示されていない.また,放射線療法による有害事象の報告もあり,本邦では積極的な術前化学放射線療法は施行されていないのが現状である.最近では,直腸癌治療成績の向上を目指して,オキサリプラチンベースの術前補助化学療法が試みられている.今回,局所進行直腸癌に対してFOLFOX/XELOX術前化学療法を行った症例について検討を行った.【対象】2005年4月から2016年11月までに当科でFOLFOX/XELOX術前化学療法を施行後に,切除術を施行した局所進行直腸癌25例を対象とした.【結果】性別は男性:女性=13:12,年齢中央値は63歳(47~80歳),深達度はT2:T3:T4a:T4b=1:7:3:14,N因子はN0:N1:N2:N3=5:7:8:5であった.9例に遠隔転移を認め,転移臓器は肝:肺:大動脈周囲リンパ節:腹膜播種=4:1:3:1であった.術前化学療法に分子標的薬を併用した症例は9例(ベバシヅマブ4例,パニツムマブ5例)あった.down stagingを認めた症例はT因子で12例(48%),N因子でも13例(52%)であった.Grade3以上の有害事象は,好中球減少3例,オキサリプラチンアレルギー1例,ざ瘡様皮疹1例,手足症候群1例,膿瘍形成2例に認めた.術式は低位前方切除術10例,直腸切断術9例,ハルトマン術1例,骨盤内臓全摘術5例であり,手術時間中央値は621分(239~975分),出血量中央値は1276g(50~9131g)であった.Clavien-dindoII以上の術後合併症はイレウス4例,骨盤内死腔炎5例,腹腔内感染2例,創感染4例,尿路感染2例,術後出血1例であった.R0手術は20例(80%)で可能であった.組織学的治療効果はGrade0:1a:1b:2=1:12:1:11例であった.9例(33.3%)に再発を認め(局所4例,遠隔5例),3年RFSは55.8%,3年OSは76.6%であった.【結語】局所進行直腸癌に対する,術前化学療法は,比較的安全に施行可能で,Downstaging効果も良好であった.一方,術前化学療法中の病状の進行や,有害事象・術後合併症に注意が必要であると考えられた.
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