演題

SY08-9

胃切除術前経腸栄養療法の意義

[演者] 井田 智:1
[著者] 比企 直樹:1, 熊谷 厚志:1, 布部 創也:1, 大橋 学:1, 佐野 武:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】胃癌患者は術前から低栄養状態であることも多く,合併症軽減のためには術前からの経腸栄養(EN)を行うことが推奨されている.しかし,低栄養患者を抽出し,該当患者に対する術前ENの効果を検証した報告は乏しい.そこで,直近の栄養状態を反映するプレアルブミン(PreAlb)に注目し,初診時PreAlb値と術後合併症発生との関連を検討した.さらに術前EN前後でのPreAlb値の変化と術後合併症発生との関係を検討し,術前ENの意義について考察した.
【対象と方法】①2010年1月から2013年12月までに,胃癌に対し胃切除術を施行した1798例(65才,男性1109名,女性689名)を対象とした.PreAlb値により3群 (正常値群;≧22mg/dl,軽度低下群;15 <PreAlb <22 mg/dl,高度低下群;≦15 mg/dl) に分け,術前PreAlb値と術後合併症発生との関係を検討した.②L領域の胃癌(n=516)のうち,通過障害に対し経鼻栄養チューブでのEN後に胃切除術を施行した39例(EN群)とENなしに手術を行った477例(非EN群)での,術後感染性合併症発生を比較した.データは中央値(範囲)で示した.Clavien-Dindo分類にてGrade 2以上を合併症ありとした.
【結果】①感染性合併症の発生率はPreAlb値が低下するにつれて顕著に増加し,高度低下群では30.5%と高率であった.②EN前のPreAlb値は17.4 mg/dl (5.2~31.2)であった.EN期間は11日(2~27)であり,EN施行前後でのPreAlbの変化率は+10.6%(-34.4~+267.3)であった.EN期間とPreAlbの変化率は正に相関していた.術後感染性合併症は516例中76例(14.7%)に認め,EN群では5例(12.8%),非EN群では71例(14.9%)であり,全体では両群間に差は見られなかった.しかし,初診時PreAlb 15 mg/dl未満(高度低下群)の患者(n=42)での感染性合併症の発生率は,EN群:非EN群=1例(2.4%):8例(19.0%)であり,EN群で少ない傾向にあった(p=0.28).
【まとめ】術前ENは,術後感染性合併症発生予防に寄与する可能性がある.PreAlbは合併症発生予測の簡便かつ有用な指標となりうる.
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