演題

局所進行下部直腸癌に対する化学放射線療法による局所制御を含めた治療効果と肛門機能に関する検討

[演者] 高橋 孝夫:1
[著者] 松橋 延壽:1, 棚橋 利行:1, 松井 聡(岐阜大学大学院):1, 今井 寿:1, 田中 善宏:1, 山口 和也:1, 長田 真二:1, 吉田 和弘:1
1:岐阜大学附属病院 腫瘍外科

【はじめに】局所進行直腸癌は局所再発率が高いため,当科において2011年よりRM陽性となる可能性が高い症例に化学放射線療法を先行している.また切除不能・困難症例においても化学放射線療法(±分子標的薬を伴う化学療法)により切除可能となれば原発巣切除を積極的に行う方針としている.今回化学放射線療法による局所制御を含めた治療効果と肛門温存例における肛門機能に関する検討を行った.【対象】2011年5月~2016年1月に化学放射線療法を施行された21例.治療前に切除可能:15例,切除困難・不能:6例.【患者背景】年齢63歳(34-79歳),男/女:14/7,PS0/1:16/5,治療前診断T3/4a/4b:6/4/11,N0/1/2/3:1/3/6/11, M1a LYM;3 M1b H1・PUL1;1, StageII/IIIa/IIIb/IV:1/2/14/4,併用化学療法レジメン:SOX/FOLFOX:14/3,FOLFOX/XELOX+分子標的薬を併用した化学放射線療法:4例.【結果】①治療効果:奏効度CR/PR/SD/PD:1/17/3/0,切除不能例(前立腺浸潤+肝・肺転移)1例は原発巣切除不能(5%)(術後解析からは除外).切除可能例は全例根治術可能で,切除困難・不能6例中5例は切除可能となった.術式;腹腔鏡/開腹:8/12,(u)LAR/ISR/APR/TPE:6/6/7/1,側方リンパ節郭清 有/無:11/9,肛門温存 有/無:12/8,肛門温存例は全例covering stomaを造設.他臓器合併切除例は3例のみであった.組織学的効果 Grade 0/1a/1b/2/3:1/2/5/11/1・ypStageI/II/IIIa/IIIb/IV:1/9/5/3/1,pCR:1, 病理学的ダウンステージ(DS) 有/無:15/5, 腫瘍学的には術後再発3例(15%):肝転移1例, 肺転移1例, 腹膜播種1例で局所再発は認めていない.再発例のうち2例は原病死された.肝転移の1例は肝切除施行し,他は全例無再発生存中である.②肛門機能:肛門温存した12例のうち,吻合部狭窄1例とストマ閉鎖を希望しない1例がストマ閉鎖不能.ストマ閉鎖前に肛門内圧測定を施行後,肛門機能を確認し,ストマ閉鎖を施行しているが,ストマ閉鎖後排便機能障害でストマ再造設となった1例を認め,2例に術後吻合部狭窄がすすみ,排便障害を認めた.【まとめ】局所進行下部直腸癌に対する術前化学放射線療法は奏効率・根治切除率・DS率が高い.組織学的効果はGrade3が1例のみであったが,Grade2以上を60%に認めた.また局所再発を認めておらず,局所制御は良好であり,有効な治療法と考えられた.しかし肛門機能に関しては放射線治療によると考えられる肛門機能不良例を経験した.
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