演題

当院における進行下部直腸癌に対する術前化学放射線療法の成績

[演者] 太田 啓介:1
[著者] 前田 祥成:1, 蘓村 秀明:1, 竹本 紀一:1, 矢原 昇:1, 安部 俊弘:1, 佐伯 俊宏:1, 古谷 卓三:1, 林 弘人:1
1:関門医療センター 外科

【はじめに】当科では腫瘍下縁が直腸Rbにかかる進行下部直腸癌で,リンパ節転移陽性例,他臓器浸潤例,またはbulky腫瘍例に対して術前化学放射線療法を施行しており,その成績を報告する.
【対象・方法】対象は平成23年4月から平成28年12月までに当院で術前化学放射線療法後に切除した進行下部直腸癌18例.平均年齢68.3歳,男/女: 14/4例で,NACRT前StageはII/IIIa/IIIb:1/8/9例であった.放射線照射1.8Gy×28回(total50.4Gy),化学療法はTS1: 80mg/m^2/dayを放射線治療施行日に投与とし,術前治療後6~8週後に手術を施行した.
【結果】前例で術前治療は完遂し,治療中の有害事象として,下痢1例,食欲不振1例(Grade2)を認めた.1例において肺・肝転移の出現を認め,手術は施行できず化学療法に移行した.RESISTでの効果判定はCR/SD/PR:3/5/10例であった.術式は,LAR/APR/ISR: 9/4/4例であった.この内13例,ISRでは全例covering stomaを作成した.4例で側方郭清を施行していたが,病理結果にて側方リンパ節転移陽性は1例であった.原発巣に関しては全例でR0切除を施行していた.組織学的効果判定はGrade1a/1b/2/3:4/3/7/3例であった.18例中14例でdown stageが得られた.術後合併症として縫合不全2例,会陰部創し開1例,尿管狭窄1例,術後出血1例,骨盤膿瘍1例を認めた.現在のところ局所再発は認めていない.
【考察】直腸癌に対する術前化学放射線療法は重篤な有害事象が少なく安全に施行でき,抗腫瘍効果が高く,局所再発の制御に有用であると考えられた.しかし,あくまで局所療法であるため遠隔転移制御が課題となる.これに対して術前化学放射線療法にFOLFOX等の化学療法を組み合わせる検討も行われており,進行直腸癌における生存率のさらなる向上を目指していきたい.
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