演題

下部進行直腸癌に対する術前化学放射線療法の治療成績

[演者] 前田 清:1
[著者] 永原 央:1, 渋谷 雅常:1, 福岡 達成:1, 中尾 重富:1, 松谷 慎治:1, 田中 浩明:1, 六車 一哉:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学

[はじめに]局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法(CRT)は欧米では標準治療とされているが,本邦の大腸癌治療ガイドラインではエビデンスに乏しく,臨床試験として実施するように記載されている. 今回,当教室で下部直腸局所進行直腸癌に対し,術前CRTを施行した27例について検討した.[症例] Rb~Pに主座をおく下部進行直腸癌のうち,cT3以深または所属リンパ節転移陽性と診断した27例にNACRTを行った.性別は男性20例,女性7例.年齢は51~75歳(平均62歳)であった.2例は同時性遠隔転移(肺および肝)を伴っていた.CRTは放射線1.8Gy/回,総量50.4Gy,Capecitabine 825~900mg/mm2/回を照射日のみ内服とした.一部の症例には分子標的薬も併用した.CRT終了後,8~10週後に手術を行った.
[成績] CRT施行中の有害事象は13例(48.1%)に認められた.Grade2の下痢を1例に認め,Capecitabineの減量を要したが,その他の有害事象はいずれもGrade 1で,全例,CRTの完遂は可能であった.治療後の画像診断では24例(89%)に縮小効果を認めた.24例(89%)に腹腔鏡補助下手術を行った.術式は直腸切断術15例,低位前方切除8例,ISR 4例であった.原発巣に関しては全例R0手術が施行できた.摘出標本での病理診断でdown stage率は70.4%(19/27)であった.組織学的効果判定はGrade 3/2/1b/1aそれぞれ,4/9/7/7例.pCR率は15%で,48%にGrade2以上の効果が得られた.術後合併症は8例(29.6%)に認められた.縫合不全4例にみられたが,いずれも症状を有さないradiologicalなものであった.その他,会陰創感染3例,会陰膀胱瘻1例を認めたが,いずれも保存的に改善した.術後観察期間は1~65ヶ月,中央値27ヶ月.再発を4例に認めた.再発部位は肝2例,肺2例,腹膜転移1例(重複含む)で,局所再発は認めていない.
[結語]術前CRTの認容性は良好で,高い奏効率と局所再発率の低下が期待できる.また,腫瘍縮小により,腹腔鏡手術も問題なく完遂できた.今後,遠隔転移を抑制するため,術前術後の全身補助化学療法の検討が必要である.
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