演題

進行直腸癌に対する術前放射線化学療法の治療成績と再発予測因子の検討

[演者] 蘆田 啓吾:1
[著者] 谷尾 彬充:1, 漆原 正一:1, 山本 学:1, 徳安 成郎:1, 坂本 照尚:1, 本城 総一郎:1, 前田 佳彦:1, 齊藤 博昭:1, 藤原 義之:1
1:鳥取大学医学部 病態制御外科学

【目的】局所進行直腸癌に対する術前放射線化学療法の有用性が報告されているが,治療効果や再発予測因子は明らかとはなっていない.今回当科での治療成績について検討したので報告する.【方法】2008年6月から2015年10月までに当科で術前放射線化学療法が施行された33例について後方視的に検討した.放射線治療は40-50Gyを照射し,6-8週後に手術の予定とした.化学療法は照射開始日よりUFT/LVかS-1の内服を行った.側方リンパ節郭清は放射線化学療法前に腫大を認めた側にのみ施行した.【結果】平均年齢は66歳(39-87),男/女 20/13.放射線治療の完遂率は100%であったが,化学療法は93%であった.内視鏡検査所見では全例で腫瘍の縮小が得られた.26例に腹腔鏡下(内3例はロボット支援下)に手術が行われた.開腹移行は1例であった(子宮合併切除例).LAR/ISR/Hartman/APR 12/1/1/19例で,肛門温存率は39%であった.側方郭清は12例に,他臓器合併切除が3例に行われていた.ypStage0/I/II/IIIa/IIIb/IV 5/7/10/5/2/2例で,組織学的効果はGrade1/2/3が16/13/4例(CR率12%)であった.手術時間の平均は501分(287-857),出血量は288ml(5-1640)であった.術後合併症(CDⅡ以上)は6例にイレウス(1例は再手術施行),7例に創傷感染症を認めた.骨盤内膿瘍を3例に,縫合不全は1例に認められた.術後在院期間の中央値は25日(11-85)であった.観察期間の中央値は1019日で,4例に肺転移,1例に肝転移,1例に遠隔リンパ節転移,1例に局所再発が認められた.3年生存率は86.7%,3年無再発生存率は78.3%で,Grade1症例はGrade2/3症例と比較して有意に無再発生存率が不良であった.Grade1群とGrade2/3群を比較すると,Grade1群でBMIが有意に低く,治療前WBC,好中球/リンパ球比(NLR)が有意に高値であった.また再発群の検討では非再発群に比し,有意に手術時間が長く,ypStageIII症例が多かった.【考察】局所進行直腸癌に対する術前放射線化学療法は創傷関連合併症などの特有の合併症は多かったが,比較的安全に施行可能であった.組織学的治療効果Grade2/3症例の予後は良好であり,放射線化学療法の感受性が予後に影響を及ぼしている可能性が示唆された.また治療効果に影響を及ぼす因子としてBMI,NLRが挙げられた.【結語】進行直腸癌に対する術前放射線化学療法は安全に行うことができ,有効な治療Optionであると考えられた.
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