演題

直腸癌術前化学放射線療法における高線量短期間照射の位置付け

[演者] 井上 靖浩:1
[著者] 重盛 恒彦:1, 沖上 正人:1, 藤川 裕之:1, 廣 純一郎:1, 問山 裕二:1, 小林 美奈子:1, 荒木 俊光:1, 毛利 靖彦:1, 楠 正人:1
1:三重大学大学院 消化管・小児外科学

【背景】進行直腸癌に対する術前高線量短期間照射は,コンベンショナルな化学放射線療法(CRT)と同等の生物学的実効線量を持ち,費用対効果で優れることから開発されて久しいが,依然標準治療となり得ていない.【目的】当科の直腸癌集学的治療成績から,術前照射スケジュール別の臨床成績を比較し,術前高線量短期間照射の位置付けを再検討した.【対象と方法】術前CRT後にR0-1切除が施行された進行直腸癌126例を対象とした.術前CRTとして短期照射(S-CRT;20Gy/4fr),長期照射(L-CRT;45Gy/25fr)を用い,両者とも5-FU系化学療法を併用した.【結果】平均年齢62.2歳.cStage I/II/III/IV=11/16/95/4に対し,S-CRT 58例,L-CRT 68例が施行され,全例TMEが施行された.S-CRTはL-CRTと比較し,腫瘍径が小さく,cT4でない症例に有意に多く導入された.Grade2以上の病理組織学的著効例は46例(36.5%)に認め,S-CRTよりL-CRTで多く認めた (25.9% vs.45.6%, p=0.0219).S-CRTで術後Grade2以上の下痢が多い傾向を認めたが(24.6% vs. 16.9%, p=0.0758),Clavien-Dindo III以上の合併症率に有意差は認めなかった(6.9% vs.16.2%).平均観察期間65ヶ月において,全体の局所再発5.6%,遠隔再発20.6%であり,5-year OS 83.5%であった.また,cT2-3でみてみるとS-CRTとL-CRTで,再発率に差を認めず,5-year OS( 83.8% vs.87.5%),5-year RFS(73.8% vs. 60.8%)とも有意差は認めなかった.ただし,cT2-3においても腫瘍径5cm以上ではS-CRTはL-CRTより有意にOS不良であった(68.4% vs. 93.8%, p=0.0315).S-CRT施行例のOS不良に関わる因子は腫瘍径5cm以上,年齢75歳以上であり,多変量では75歳以上が独立予後不良因子であった(HR7.5, p=0.0045).【まとめ】術前高線量短期間照射は75歳未満,腫瘍径5cm未満のcT2-3直腸癌において,L-CRTに代わり得ることが示唆された.
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