演題

直腸がん術後排便機能障害に対する治療介入 ~直腸がん術後の排便障害に関する多施設アンケート結果~

[演者] 錦織 英知:1
[著者] 石井 正之:1, 野田 雅史:2, 木村 文彦:3, 小髙 雅人:4, 橋田 裕毅:5, 富永 正寛:6, 松本 祐介:7, 冨田 尚裕:2,8
1:神鋼記念病院 大腸骨盤外科, 2:兵庫医科大学病院 下部消化管外科, 3:明和病院 外科, 4:佐野病院 消化器がんセンター, 5:神戸市立医療センター中央市民病院 外科, 6:兵庫県立がんセンター 消化器外科, 7:姫路赤十字病院 外科, 8:兵庫大腸癌治療研究会

【はじめに】
直腸癌に対する外科的治療は,手術手技の向上に伴い下部直腸癌症例に対しても肛門温存が可能となってきている.一方で肛門温存の弊害として術後排便機能障害が増加しているが,直腸がん術後排便機能障害に関して確立された診療指針がない現状がある.そこで今回兵庫大腸癌治療研究会にて多施設アンケート調査を行い,直腸がん術後排便障害に対する診療に関しての現状把握を行った.
【目的】
1.長期にわたり高度な排便障害を有した直腸がんISR術後患者に対する診療を症例提示する.
2.兵庫大腸癌治療研究会にて行った直腸がん術後排便障害診療に関するアンケート調査の結果を報告する.
【対象と方法】
1.当院では2014年9月より排便機能障害外来を立ち上げ,直腸がん術後排便障害患者の診療を積極的に行っている.ManometryおよびWexner(以下,WS),LARSS,FISI,FIQL各種スコアを用いて排便機能障害程度を評価し治療は食事療法,薬物療法,筋電図トレーニング機器を用いたバイオフィードバック療法を行い,治療介入前,介入3ヶ月後,6ヶ月後に経時的な障害程度の評価を行った.
2.兵庫大腸癌治療研究会加盟施設48施設に対し,直腸がん術後排便障害に対する各施設の治療介入の実状についてアンケートを実施し,32施設(67%)より回答を得た.
【結果】
1.65歳女性,直腸がん術後34ヶ月経過し,排便機能障害外来初診.排便回数1日15回,毎日の便失禁.日中の活動にも消極的になり外出できない状態が続いていたが,治療介入6ヶ月後には,排便回数1日4回,便失禁は4週に1回程度に改善.WS16→8,FISI37→8,LARSS41→29,FIQL50→77とスコア上の改善を認めた.また最大静止圧30→49mmHg,随意収縮圧53→76mmHgと上昇を認めた.
2.27施設(84%)の施設で直腸がん術後排便障害の訴えを聴取するものの,排便障害の問診・スコアを採用している施設は7施設(22%)であった.バイオフィードバック療法を施行可能な施設は3施設(9%)に過ぎず,一般病院における排便障害診療の限界が明らかとなった.また直腸がん術後排便障害患者を排便障害の専門施設に集約化することに賛成・肯定的な意見が30施設(94%)に及んだ.
【結論】
直腸がん術後排便障害は認知されつつあるが,一般診療のなかで排便障害に対する治療介入の困難さが明らかとなった.今後,直腸がん肛門温存手術が増加する一方で排便障害に対するafter careについて検討していく必要がある.
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