演題

根治切除不能進行再発大腸癌に対する後方ライン治療の意義

[演者] 守 正浩:1
[著者] 森嶋 友一:1, 豊田 康義:1, 里見 大介:1, 利光 靖子:1, 福富 聡:1, 土岐 朋子:1, 榊原 舞:1, 山本 海介:1, 石毛 孔明:1
1:千葉医療センター 外科

【背景と目的】根治切除不能な進行再発大腸癌に対する治療は化学療法が主体であり,現在では30ヵ月を超える生存期間を得ることも可能となっている.一方で,複数回の化学療法により消耗し,1stライン,2ndライン治療がProgressive Diseaseとなった患者に対して後方ライン治療導入するのか,Best Supportive Care(以下BSC)とするのかを迷う症例も少なくない.今回我々は根治切除不能な進行再発大腸癌に対する抗ライン治療の意義を明らかにする目的で検討を行ったので報告する.【対象と方法】2011年1月から2015年12月までの期間中に当科で診療した大腸癌患者734例のうち,経過中に根治切除不能と診断された122例を対象としてretrospectiveに検討を行った.まず,対象を化学療法施行群とBSC群の2群に分けて生存期間を統計学的に比較した.また,化学療法施行群を1stライン施行後BSC群,2ndライン施行後BSC群,後方ライン施行群の3群に分け,それぞれの生存期間を比較検討した.生存期間は根治切除不能と診断された時点から死亡もしくは最終生存確認日までと定義し,統計解析にはLog rank testを用いp<0.05を有意とした.【結果】それぞれの群の症例数は,BSC施行群35例,化学療法施行群87例で,1stライン施行後BSC群26例,2ndライン施行後BSC群37例,後方ライン施行群24例だった.生存期間(平均±SD)およびMedian Survival Time(以下MST)はBSC群8.6±6.5,7.0ヵ月,化学療法施行群18.4±11.6,19.3ヵ月で,化学療法施行群で有意に生存期間が長い結果だった(p<0.001).また,1stライン施行後BSC群,2ndライン施行後BSC群,後方ライン施行群それぞれのMSTは10.1,18.3,31.1ヵ月で,いずれのラインで化学療法を終了した場合でもBSC群と比較して生存期間が有意に延長していた.また,1stライン後BSC群と2ndライン後BSC群との比較では2ndライン後BSC群で生存期間は有意に長く(p=0.022),2ndライン後BSC群と後方ライン施行群との比較では後方ライン施行群で生存期間が有意に延長していた(p=0.039).【結論】今回の検討結果から,化学療法後方ライン治療の意義は生存期間の延長にあることが示された.1stライン,2ndライン治療では後方ライン治療の導入を念頭に置き,腫瘍縮小効果とPS維持のバランスを考慮した投与薬剤の選択,減量や休薬,切り替えを判断することが大切と考えられた.
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