演題

進行・再発大腸癌に対するレゴラフェニブ80mg/日開始の経験

[演者] 太田 博文:1
[著者] 酒田 和也:1, 森本 修邦:1, 赤丸 祐介:1, 瀧内 大輔:1, 和田 範子:1, 西田 謙太郎:1, 野々下 崇:1, 東口 公哉:1, 柴田 邦隆:1
1:市立池田病院 外科

【はじめに】レゴラフェニブは進行・再発大腸癌の後方ラインとして使用されているが標準開始用量の160mg/日で行うとその有害事象の頻度が多いため適応に難渋するが多い.また,120mg/日で開始しても1-2コースのうちに患者を悩ます有害事象で減量を余儀なくされた経験をした.今回,患者に同意を得てレゴラフェニブ80mg/日で開始後,有害事象のため40mg/日まで減量しても良好な経過をたどった症例を経験した.
【症例1】 73歳女性 KRAS変異型 PS1 S状結腸癌術後肺転移のため5次治療としてレゴラフェニブ80mg/日(3週間投与1週間休薬)で開始.2週間で肝機能異常(AST169/ALT120 IU/L)を来し,休薬.40mg/日(3週間投与1週間休薬)で再開した.約4ヶ月間,肝機能異常やその他の有害事象がなく,CEAは150 ng/ml前後を維持し,SDが得られた.その後,CEAがやや上昇したため,80mg/日の1週投与1週休薬に変更しても有害事象なく,さらに約5ヶ月SDを継続した.その後はTAS-102に変更したが,腫瘍の増大をきたし,ホスピスで永眠された.
【症例2】 73歳男性 KRAS野生型,PS0,直腸S状部癌の同時性肝転移のため低位前方切除術後3次治療でレゴラフェニブ80mg/日(3週間投与1週間休薬)で開始.
一旦 3000ng/ml以上に上昇したCEAは500ng/ml前後まで減少したが,2週間後に腹痛,総ビリルビン値上昇(3.2mg/dl)のため休薬.4週後に40mg/日(3週間投与1週間休薬)で再開したところ,CEAは600 ng/ml前後を維持し,肝転移巣はSDを約5ヶ月継続した.その間 有害事象はgrade 1の皮膚症状のみであった.その後,引っ越しのため転院した.
【考察】大規模臨床試験でのレゴラフェニブの全生存期間中央値は6.4ヶ月と報告されている.レゴラフェニブ80mg/日で有害事象が出る症例の中には40mg/日に減量しても比較的長期のSDが得られる症例が含まれることが分った.40mg/日(3週間投与1週間休薬)投与で維持できたなら,終末期が近い患者にとっては有害事象が少なく病勢を維持できることは終末期緩和ケアの事前ケア計画,いわゆるadvance care planning をする上で有意義なことである.
【結語】レゴラフェニブの80mg/日開始で40mg/日の維持量で有害事象がほとんどなく,病勢維持を示した症例を報告した.
発表では160mg/日開始の症例,120mg/日開始の症例の経験も合わせて報告し,レゴラフェニブの適切な開始量を提案したい.
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