演題
SY08-7
食道癌周術期の栄養管理-Beyond Nutrition- |

【方法】1) CTスキャンにおいて第3腰椎部での腸腰筋面積(PI)を測定し,sarcopeniaが周術期あるいは周術期以降(術後6ヶ月目)の肺炎の発症に与える影響を検討した.2) 狭窄症状を有する進行食道癌症例に対して,腹腔鏡下空腸瘻造設術(Lap-J)を施行し,栄養学的介入をしつつ術前補助化学療法(NAC)を施行した際の栄養学的有用性を検討した.
【結果】1) 術前にsarcopeniaを認めた症例では,sarcopeniaを認めなかった症例と比較して高齢者が多く,BMI,アルブミン値が有意に低値であった.術後6ヶ月目に肺炎を発症するリスク因子として,高齢者,術前のBMIが低値であることに加えて,術前から6ヶ月目までのPIの減少割合が関与していた.2) Lap-Jを施行後にNACを施行した症例(Lap-J群)では,Lap-Jを施行せずにNACを施行した症例(Control群)と比較して,NAC前の体重,総蛋白値,アルブミン値,Hb値,prognostic nutrition index (PNI)が有意に低値であった.またControl群ではNAC後に総蛋白値,アルブミン値,Hb値,PIが有意に減少したのに対して,Lap-J群ではNAC前後での変化は認められなかった.またLap-J群ではNAC後にアルブミン値,PNIが有意に上昇したのに対して,Control群ではそれらに変化は認められなかった.
【結語】食道癌症例において,適切な栄養評価や積極的な栄養学的介入が長期予後の改善に寄与する可能性が示唆された.