演題

切除不能進行大腸癌に対する術前化学化学療法の検討

[演者] 富田 理子:1
[著者] 石川 博文:1, 定光 ともみ:1, 竹井 健:1, 切畑屋 友希:1, 松阪 正訓:1,2, 中多 靖幸:1, 向川 智英:1, 高 済峯:1, 渡辺 明彦:1
1:奈良県総合医療センター 外科, 2:奈良県総合医療センター 救命救急センター

【目的】切除不能と判断された進行再発大腸癌の治療の中心は化学療法となるが,それが奏効した場合の
根治切除の可能性が大腸癌診療ガイドライン(2016年度版)にも記載されている.
遠隔転移をコントロールしつつ原発巣を縮小させてから根治術を施行する,いわゆるconversion therapy
の報告が散見され,切除不能進行再発大腸癌に対する集学的治療の有用性が検討されつつある.
今回,根治的切除が困難,あるいは切除後の早期再発が予測される進行大腸癌24症例にNeoadjuvant
chemotherapy (NAC) を行い,retrospectiveにその意義を検討した.
【対象と方法】2009年から2016年までの,NACを受けた切除不能進行大腸癌24症例を,
目的別に以下の3つに分類した.1)周囲浸潤が高度な症例(局所進行例:n=10),
2)同時性肝転移で,原発巣もしく肝転移巣の切除が困難と判断した症例(同時性肝転移例:n=11),
3)3群(以上)にリンパ転移を認めた症例(高度LN 転移例:n=3).
24症例中,男性は15例.年齢中央値68歳(44-76歳)で,原発部位は虫垂が1例,上行結腸が1例,
横行結腸が2例,S状結腸が5例,直腸が19例,肛門管が1例であった.
NACはoxaliplatinをベースとしたレジメンを使用し,分子標的薬や放射線療法を組み合わせた.
NACの有害事象,治療前後の最大径の縮小率,病理学的効果,術後合併症,腫瘍マーカーの推移,
および予後について検討した.
【結果】
24症例中2症例は,敗血症・腫瘍壊死のためNAC継続困難となり,緊急salvage手術を行った.
局所進行例において,術前の化学療法と化学放射線療法とでは同等の縮小効果と
CEA低下を認めた.同時性肝転移例では,原発巣と比較して肝転移巣がNACの効果が高い傾向にあった.
今回は少数例の成績であるが,傍大動脈LN転移例,CEAが正常に復さなかった例,
PDでの手術例は予後不良であった.また,NACによる有害事象や,術後合併症に関しては許容範囲内
であった.
【結語】切除不能進行大腸癌に対する化学療法は,慎重に適応を選び,適切なレジメンを
選択することで,conversion therapyとしての根治的切除が十分に期待されるものである.切除不能進行大腸癌に対するNACの予後への影響について,更なる検討が課題となる.
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