演題

切除不能大腸癌に対するoxaliplatin-base治療の占居部位別の治療成績

[演者] 石橋 敬一郎:1
[著者] 伊藤 徹哉:1, 近 範泰:1, 幡野 哲:1, 天野 邦彦:1, 隈元 謙介:1, 福地 稔:1, 熊谷 洋一:1, 持木 彫人:1, 石田 秀行:1
1:埼玉医科大学総合医療センター 消化管外科・一般外科

【背景・目的】切除不能大腸癌に対して,欧米のKras野生型に対する大規模臨床試験のサブ解析で,原発巣占居部位が左側(下行結腸,S状結腸,直腸)は,右側(虫垂,盲腸,上行結腸,横行結腸)と比べ無増悪生存期間(PFS),全生存期間(OS)が良好と報告され,Kras野生型に対しては占居部位によって分子標的薬の使い分けについて検討されているが,本邦での報告は少ない.当科では1次,2次治療にbebacizumab(bev)を併用し,Kras野生型には3次治療に抗EGFR抗体(EGFR)を使用することを原則としてきた.今回,実地臨床における1次治療としてoxaliplatin(oxa)-baseを行った症例について,占居部位別の治療成績について検討した.
【対象・方法】当科において2006年1月から2016年3月までの間,切除不能大腸癌に対して,1次治療としてoxa-baseを施行した357例を対象.原発巣の占居部位別(右側:左側)別に臨床病理学的因子,抗腫瘍効果,生存期間について検討.さらに,Kras変異が判明している232例について変異の有無別に生存期間について検討.
【結果】年齢の中央値は66(22-85)歳,男217例,女140例.初発時(StageIV)221例,再発136例.右側100例(28%),左側257例.FOLFOX229例,CapeOX118例に施行. bevを160例(44.8%),EGFRを5例(1.4%)に併用.Kras野生型127例(54.7%),変異型105例.右側で組織型は低分化型腺癌が多く(22.6% vs 9.2%: p<0.01),年齢が高齢 (P=0.08),Kras変異型が多い傾向(p=0.08)であったが,他の臨床病理学的因子に差はなかった.奏効率は右側42.3%,左側35.2%(p=0.33),病態制御率は各々76.9%,80.1%(p=0.31),PFSは,中央値各々9.9ヶ月,9.1ヶ月と差はなかった(p=0.80).OSは,中央値各々19.7ヶ月,23.0ヶ月と左側で良好な傾向であった(p=0.09). Kras野生型では,PFS中央値各々14.0ヶ月,11.3ヶ月(p=0.21),OS中央値各々27.1ヶ月,27.8ヶ月(p=0.80)と差はなかった.Kras変異型では,PFS中央値各々10.3ヶ月,8.7ヶ月と差はなかったが(p=0.71),OS中央値各々19.4ヶ月,27.7ヶ月と左側で良好な傾向があった(p=0.07).
【結語】1次,2次治療でbevを併用することを原則とする実地臨床において,欧米の臨床試験の結果とほぼ同等であった.分子標的薬別での左右治療成績の違いについては,EGFR併用症例が少なく分子標的薬別での検討は行っていないが,今後症例を蓄積して検討が必要である.
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