演題

RS3-172-18-4

我々が開発した吊り上げ式リトラクターによる経済的な単孔式経臍腹腔鏡下虫垂切除術

[演者] 菅本 祐司:1
[著者] 木村 正幸:1, 福長 徹:1, 田﨑 健太郎:1, 豊住 武司:1, 磯崎 哲朗:1, 池田 優子:1, 花田 学:2, 渡邉 揚介:2, 松原 久裕:3
1:沼津市立病院 外科, 2:沼津市立病院 小児外科, 3:千葉大学大学院 先端応用外科学

【はじめに】現在,さらなる整容性の追求から単孔式内視鏡手術が広まっており,手術手技や新規デバイスが研究・開発されている.専用の器具は高価であり,既存の吊り上げ器具は操作が煩雑で時間がかかったり,広い視野が得られないなどの欠点がある.
【方法・工夫】我々は単孔式経臍腹腔鏡虫垂切除を簡便かつ安全に施行し得るリトラクター(NUMAZU SF4/SF6)(届出番号22B1X00009H00026)を開発した.本開発品は,臍より挿入して自在鈎や自在開創器などと呼ばれる体外の持ち上げ機構に取り付けて腹壁を持ち上げる原理であり,ステンレス鋼製で剛性の高いリユース製品である.臍部に創縁保護具を装着後,本リトラクターを挿入する.中心角160度の扇型のリング構造であるため,持ち上げる腹壁全層の支点が単鈎型のように短い直線ではなく面として持ち上げられ,広い視野が確保できる.鉗子等は通常の内視鏡外科手術で使用している器具を用いる.
【結果】2004年12月~2016年11月までに142例の単孔式経臍腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.平均年齢15.1歳(3~73歳),男女比52:90,平均手術時間71分,平均出血量少量,術後在院日数1.4日,医用器材費11,400円.
【考察】腹腔鏡下虫垂切除術は診療報酬(114,700円)に対する医療材料費の割合が高い術式である.われわれは医療材料費節減の工夫をしており,3孔式手術でも医療材料費は,従来法122,346円から24,780円に節減してきた.多くの施設でおこなっている単孔式手術では3孔式より高額になることが多いと報告されているが,本法では3孔式の24,780円からさらに半減された上に二酸化炭素も不要である.本リトラクターのセッティングは容易であり,手術台に固定した持ち上げ機構に取り付けて機械的に腹壁を挙上するため,助手(研修医など)に奮闘してもらう必要もなく(省力化・省人化),全くぶれない視野を時間制限なく維持できる.本法は若い女性やこれから成長する小児には整容面で恩恵があると思われる.
【結語】SF4/SF6を含めた当院の単孔式経臍腹腔鏡下虫垂切除術の方法は,一般的な単孔式手術の医療材料費高騰という欠点を抑制するだけでなく3孔式手術よりも医療コストの削減になり,かつセッティングが容易で単鈎型リトラクターより広い視野が確保できる.合併症の増加や手術時間の延長などの不利益はなく,助手の労力削減にも寄与するなど多くの利点を有する優れた術式であると考えられた.
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