演題

SY08-5

肝移植における免疫調整栄養剤を用いた術後早期経腸栄養の意義と肝線維化抑制効果

[演者] 加茂 直子:1
[著者] 海道 利実:1, 城原 幹太:1, 八木 真太郎:1, 岡島 英明:1, 上本 伸二:1
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科

【目的】肝移植において,栄養管理と感染対策はきわめて重要である.そこで,成人生体肝移植症例におけるホエイペプチド含有免疫調整栄養剤を用いた術後早期経腸栄養の意義について,特に感染症やサルコペニアに着目して検討した.また,ラットにおいてその肝線維化抑制効果についても検討したので報告する.
【方法】検討1:対象は当科において2008年から2015年までに成人生体肝移植を施行した279例.移植後24時間以内に経腸栄養剤とシンバイオティクスを用いて早期経腸栄養を開始.経腸栄養剤の種類により,ホエイペプチド含有免疫調整栄養剤群(ホエイ群,164例)と,それ以外の栄養剤群(対照群,115例)の2群に分け,以下の項目につき比較検討した.術後栄養パラメーターの推移,急性拒絶反応発症率,術後菌血症発症率,術前サルコペニア有無別の術後菌血症発症率等.菌血症発症の独立危険因子の検討(多変量解析).検討2:Dimethylnitrosamine (DMN)誘導ラット肝線維化/肝硬変モデルにおいて,ホエイペプチドの肝線維化抑制効果を検討した.
【結果】検討1:術後栄養パラメーターや急性拒絶反応発症率は両群間に有意差を認めず.ホエイ群(24.4%)で対照群(41.7%)に比べ有意に菌血症発症率低値(P=0.002).術前サルコペニア症例が非サルコペニア症例より菌血症発症率が高い傾向.ホエイ非使用,血液型不適合移植,MELD高値,術後ステロイド使用が菌血症発症の独立危険因子であった.検討2:ラット肝線維化/肝硬変モデルにおいて,ホエイペプチド投与群では肝硬変を認めず,肝線維化が抑制され,肝組織中のマロンジアルデヒド濃度の有意な低下とグルタチオン濃度の有意な上昇を認めた.
【結語】肝移植においてホエイペプチドを用いた術後早期経腸栄養は菌血症発症抑制に有用であった.また,ホエイペプチドによる肝線維化抑制や抗酸化作用など,臨床におけるbeyond nutritionとしての有用性が期待された.
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