演題

RS3-171-18-4

大腸癌に対する細径鉗子を用いた腹腔鏡下手術の有用性

[演者] 鈴村 博史:1
[著者] 鶴田 雅士:1, 長谷川 博俊:1, 岡林 剛史:1, 石田 隆:1, 安藤 知史:1, 岩間 望:1, 徳田 敏樹:1, 豊田 尚潔:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【背景】 大腸癌に対する腹腔鏡下手術は20年を超える歴史の中で安全面での検証が進み,現在進行癌においても第一選択の術式として受け入れつつある.一方では,Reduced port surgeryや単孔式腹腔鏡下手術は,さらなる低侵襲かつ整容面の向上が期待され一躍脚光を浴びるも技術的あるいは腫瘍学的問題点,さらには若手外科医の教育という観点からいまだに定位置を得るに至っていない.我々はこれまでに細径鉗子を用いるscarless 手術を導入し,短期成績を中心に良好な成績を報告してきた.今回はさらに症例を集積し,長期成績も含めて治療成績を検証したので報告する.
【方法】 2012年4月~2015年3月に当院で大腸癌(結腸癌,RS直腸癌)に対して根治度Aの腹腔鏡下手術を施行した216例を対象とした.当院では臍部に約3.5cmの切開を置き,5ポート(ポート創:5mm)で手術を行っているが,症例に応じて5ポートの内1つまたは2つを細径鉗子に変えて(ポート創:2mm)同様の手術を行っている.この従来法で手術を施行した71例(MPS群)と細径鉗子を用いて手術を施行した145例(NS群)の臨床病理学的背景因子および術後短期成績,長期成績(無増悪生存率:PFS)について比較検討を行った.
【結果】 開腹移行症例を11例に認めたため,これらの症例を除外した計205例で解析を行った.臨床病理学的背景因子では性別に有意差を認めたが(p=0.030),その他の因子に関しては有意差を認めなかった.術後短期成績の検討では,術後在院日数がNS群で有意に短かったが(p=0.031),手術時間や出血量,術後合併症に関しては両群間で有意差を認めなかった.長期成績に関する検討では,術後1年および3年のPFSはそれぞれでMPS群 vs NS群:94.5% vs 94.9%, 78.3% vs 86.2%であり,両群間で有意差を認めなかった(p=0.471).
【考察】Reduced port surgeryは従来の腹腔鏡手術と比べて,侵襲面や美容面で優れる一方,手術難度が上がり腫瘍学的結果に不安が残る.細径鉗子を用いるscarless手術は,これらの問題点を克服でき,また短期的だけではなく長期的な治療成績も従来の腹腔鏡手術と比べて遜色なく許容できるものと考えられた.
【結語】大腸癌に対する腹腔鏡下手術において,細径鉗子を用いるsacarless手術は侵襲面や安全面において有用であると考えられた.
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