演題

RS3-170-18-6

大腸癌に対するNOSE(Natural orifice specimen extraction)手技による完全腹腔鏡下手術の定型化の取り組み

[演者] 富沢 直樹:1
[著者] 安東 立正:1, 荒川 和久:1, 清水 尚:1, 黒崎 亮:1, 高橋 憲史:1, 榎田 泰明:1, 岡田 拓久:1, 稲川 万里江:1, 本多 良哉:1
1:前橋赤十字病院 外科

緒言:Reduced port surgeryの目的の低侵襲性・整容性の向上への最大の障壁は小開腹による体壁破壊である.当院は2011年より大腸癌にNOSE(Natural orifice specimen extraction)による完全腹腔鏡下手術を行っている.その定型化について報告する.対象と方法:BMI<25かつ腫瘍径<5cmを適応基準とした. 左側結腸病変では主に経肛門標本摘出:TASE(Transanal specimen extraction)を適応し,右側は経腟的摘出:TVSE(Transvaginal specimen extraction)を行なった.当初は定型的な5ポート法で行っていたが,経腟・経肛門ルートを操作孔として利用しReduced portを試みた.自動縫合器をそのルートから挿入することによって腹壁創は最小5mm×3ポートまでreduce可能であった.再建は自動吻合器が届く範囲の部位はDSTを行い,それ以外は自動縫合器による機能的端々吻合を行った.DSTはAnvil head留置のためのまつり縫合の手技がやや難しいため,End-PSI(II)を用いまつり縫合を行った.体腔内吻合を行うため腸管内容による感染・播種の増加が懸念されたため,下行結腸病変までは洗浄装置付きの内視鏡で術中腸管内洗浄を行ってから腸管を開放した.またすべての症例で吻合後に最低2Lの腹腔内洗浄も加えた.BMI高値でも内臓脂肪量が少なければ摘出が可能で,術前CTで内臓脂肪面積(VFA)を測定,適応拡大を図った.術後疼痛評価はWong-Baker Face Scaleで行った.結果:120症例にNOSEを施行.TASE群73例,TVSE群47例. BMI・VFAはTASE群20.9±3.3,70.9±42.4,TVSE群20.9±3.6,83.8±42.9.BMI低値の手術のやりやすい症例が多いため,定型化後に教育のため症例を分配し,計15名の医師が執刀した.吻合はTASE群FEEA25,DST47,TVSE群FEEA36,DST13,Overlap1(重複あり).手術時間(分)はTASE群241±,57,TVSE群265±89.ほとんどがパスで経過し術後在院日数はTASE群11.9±8.8,TVSE群11.9±3.2.NOSEに関連する可能性のある合併症はTASE群で縫合不全2例,SSI1例,TVSE群で臍部感染1例,腹腔内膿瘍1例でいずれも軽微で保存的に治癒した. TASE群はp-Stage 0:1:2:3a:3b=6:41:13:9:3,TVSE群はp-Stage 0:1:2:3a:3b:4=2:16:15:8:3:1.再発例は血行性転移6例あり1例が死亡したが他は切除無再発である.体腔内で腸管開放した症例での腹膜播種はなかった.結語:本術式の適応は大腸疾患の約20%と症例は限定されるが, 整容性も非常に良く術後の疼痛は通常のLACに比して有意に少なく,腹腔鏡手術の更なる低侵襲化術式として有望と思われた.
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