演題

RS3-170-18-5

小開腹創をおかない完全腹腔鏡下大腸癌手術

[演者] 西村 淳:1
[著者] 川原 聖佳子:1, 河内 保之:1, 牧野 成人:1, 北見 智恵:1, 角田 知行:1, 須藤 翔:1, 松本 瑛生:1, 新国 恵也:1
1:長岡中央綜合病院 外科

【目的】
従来のReduced port surgery (以下RPS)では,場の展開が不十分になりやすい,鉗子やスコープの自由な操作ができない,標本摘出で小開腹創を必要とするため創痛や創関連合併症が低侵襲性を損なう,といった欠点が挙げられる.われわれはこれらの対策として,当院IRBの承認のもと,大腸癌切除標本の経腟的摘出を行ってきた.腹壁破壊軽減への取り組みを報告する.
【方法】
適応:経腟分娩歴のある閉経後の女性.局在C~Raの深達度sT3以下の癌.手術手技:最初に,オプティカル法で臍窩に5㎜ポートを留置する.気腹下に後腟円蓋を約3cm横切開し,切開孔にGel POINT Miniを装着.腹腔鏡や鉗子のアクセスルートとすることで,腹壁portを減数している.局在SRaでは,リニアステープラー挿入のため右下腹部に12mmポートを留置し,それ以外は3mmポートを使用.郭清・授動は通常通り内側アプローチで行い,直腸洗浄したのちにDistal margin (DM) をリニアステープラーで切離する.口側結腸へのアンビルの留置はProximal margin (PM) を膣外に引き出して行い,DSTで吻合する.右側結腸癌では,臍窩の他に,左下腹部に3mmもしくは5mm portを留置した.経腟スコープの視野で,経腟鉗子のアシストのもとに郭清・授動を行う.PM,DMの切離と機能的端々吻合は,リニアステープラーを経腟的に挿入して行う.評価:術後短・長期成績を集積.疼痛をNumeric rating scale (NRS), 鎮痛剤の使用回数で評価した.
【結果】
2012年2月から2016年10月までに26例で完遂.手術時間225.5分,出血量10.5ml,術後在院日数6日(中央値).術中合併症はなく,Clavien-Dindo GradeⅡ以上の術後合併症も認めなかった.1,3,5病日のNRSはそれぞれ,2,1,1.1病日から退院までの経静脈鎮痛剤の使用回数は0回(いずれも中央値).1例で腹膜転移,1例で腹膜・傍大動脈リンパ節・骨転移をきたした.
【考察】
経腟的なアシストがRPSの欠点を軽減した.創関連合併症がなく,疼痛も軽度で,RPSの利点がより明確になった.体内での機能的端々吻合は,現状では腸管内遊離癌細胞の播種への対策が不十分と考え,現在は深達度cT1bまでに適応を縮小している.適応を適切に選択すれば,有望なオプションのひとつと考えられる.
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