演題

RS3-170-18-3

腹腔鏡下超低位前方切除術におけるReduced Port Surgery

[演者] 本間 重紀:1
[著者] 大野 陽介:1, 市川 伸樹:1, 吉田 雅:1, 川村 秀樹:1, 武冨 紹信:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅰ

【背景】下部直腸癌に対する肛門温存手術は,依然として縫合不全の頻度は高い.そのため,歯状線上にかかるような低位での吻合の際,回腸末端を用いたcovering stomaを造設し,縫合不全を未然に防ぐ試みがなされてきた. 近年,良性疾患を中心に整容性を追求した,単孔式腹腔鏡手術がおこなわれてきた.胃癌,大腸癌等のアドバンス手術にもこの単孔式腹腔鏡手術の技術を応用したReduced pot surgery(以下:RPS)がおこなわれつつある.
【目的】下部直腸癌に対する腹腔鏡下超低位前方切除術におけるReduced Port Surgeryの安全性と有用性を検討した.
【対象】2010年10月から2016年10月までに,当科でおこなわれた腹腔鏡下超低位前方切除術19例を対象とした.
【方法】covering stoma造設予定部にSILSポート,臍に5mmポートを挿入しRPSをおこなったR群:10例と,5ポートの通常法でおこなったC群:9例を比較検討した. 両群とも通常の内側アプローチでTMEをおこない,吻合はDSTでおこなった. 全例covering stomaを造設した.
【結果】R群/ C群において,患者背景では,年齢(61.4/ 61.8歳,P=0.90),男女比(0.20/ 0.88,P<0.05),BMI(22.1/ 24.4 kg/m2,P=0.20)と男女比で有意差を認めた.手術因子では,手術時間(241/ 261分,P=0.38),出血量(12/ 23ml,P=0.48),D3郭清(両群全例施行),郭清リンパ節個数(14/ 19個,P=0.50),術中偶発症(0/ 0),追加ポート挿入(R群なし),開腹移行率(0/ 0)といずれも有意差を認めなかった.血液生化学検査所見を術後1,3,7日目で比較すると,概ね同等であったが,術後3日目のCRPのみ有意差を認めた(2.0/ 4.0,P=0.02).Clavien-Dindo III以上の術後合併症は,全例認めなかった.平均術後在院日数で両群間に有意差を認めなかった(16/ 15日,P=0.67).病理学的所見においては,平均腫瘍径(28.2/ 38.7mm,P=0.27),深達度,リンパ節転移頻度,Distal Margin(18/ 23mm,P=0.51),病期において両群間に有意差を認めなかった.平均観察期間は(964/ 515日,P=0.07)で,C群に肺転移を2例認めた.C群で1例他病死した以外は全例生存中である.
【結語】下部直腸癌に対するRPSを安全に施行しえた.術後炎症反応の速やかな低下を認め,低侵襲性が示唆されたが,狭骨盤腔におけるRPSでの術野展開には制限があるため症例の選択には慎重を要する.
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