演題

SY08-4

経腸栄養の導入による生体肝移植後の敗血症対策

[演者] 池上 徹:1
[著者] 吉住 朋晴:1, 本村 貴志:1, 長津 明久:1, 伊藤 心二:1, 原田 昇:1, 播本 憲史:1, 副島 雄二:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

(はじめに)生体肝移植後は,外科侵襲・低栄養・免疫抑制により易感染性の状態であり,感染症特に敗血症が早期死亡の主要な原因となる.我々は,早期経腸栄養や術中両側胸腔ドレーンの留置により移植後敗血症対策を行って来た.
(方法)成人間生体肝移植症例(n=561)を,前期(n=186,1997年5月-2006年3月),中期(n=185,2006年4月-2012年4月),後期(n=190,2012年5月-2016年10月)に分類した.敗血症対策として中期には移植後早期経腸栄養を導入し,後期症例にはさらに術中両側胸腔ドレーンの留置も追加した.また,敗血症に関わる因子に関する単変量および多変量解析を行った.
(結果)成人間生体肝移植症例(n=561)の内,57例(10.2%)に移植術後敗血症を認めた.原因部位としては特発生腹膜炎(n=19,33.3%),肺炎(n=19,33.3%),原発性(n=10,19.3%),胆管炎(n=8,14.4%),原因菌として主なものはS.Maltophilia(n=16,28.1%),P.Aeruginosa(n=14,24.6%),MRSA(n=10,17.5%)であった.非敗血症症例(n=504)および敗血症症例(n=57)の2年生存率は,92.1%および43.6%であった(p<0.01).移植時期前期,中期,後期それぞれの敗血症発症率は17.7%,8.1%,8.4%と,早期経腸栄養を導入した中期以降でその発症率が低下し(p<0.01),移植後2年生存率もそれぞれ78.8%,92.3%,90.8%(p<0.01)と中期以降で改善した.敗血症の発症に関連する術前・術中因子に関する多変量解析を行ったところ,早期経腸栄養なし(p<0.01),術中出血量>10L(p<0.01),術前在宅不可(p=0.04)が有意な危険因子として検出された.また術中両側胸腔ドレーンの挿入により,前期中期に比し後期では肺炎による敗血症が減少傾向となった(4.6% vs. 1.6%,p=0.06).
(まとめ)早期経腸栄養が生体肝移植術後敗血症発症予防に重要であることが示された.
詳細検索