演題

RS3-170-18-2

直腸癌に対する臍部Y字切開・グローブ法を用いたreduced port surgeryによる左結腸動脈温存D3郭清手技

[演者] 鈴木 茂正:1
[著者] 細内 康男:1, 須賀 邦彦:1, 徳田 尚子:1, 萩原 慶:1, 藍原 龍介:1, 和田 渉:1, 松村 直樹:1, 西田 保二:1, 桑野 博行:2
1:済生会前橋病院 外科, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学

【はじめに】当科では臍部Y字切開・グローブ法及びMini Loop Retractor(MLR)を用いた直腸癌に対するreduced port surgery を2013年6月より定型化した.また吻合部の血流保持と縫合不全の発生を抑えるという観点から,原則全例に左結腸動脈温存D3郭清を行っている.本手技の工夫を供覧するとともに,治療成績からその有用性を検証する.
【手技】臍窩Y字切開で開腹してラッププロテクターを挿入し,size8.0の手袋を被せる.手袋指先より5㎜PORTを3本,気腹チューブを挿入しair tightに固定する.MLRを左上腹部に1本,5㎜PORTを左下腹部に1本,12㎜PORTを恥骨上に1本各々挿入し,5mm flexible scopeを使用する.術野展開のため女性では子宮を直針ナイロン糸にて腹壁に吊り上げる.内側アプローチで操作を進める際,助手がS状結腸pedicleをMLR及び鉗子を用いて把持・牽引し,操作部に緊張がかかるようにこまめに持ち替える.IMA根部を明らかにし,郭清する#253リンパ節の頭側及び左側縁(通常はIMV右側縁まで)を決めておく.IMAの血管鞘を周囲組織とともに切除するが,このときLCSの弯曲を利用するときれいなスケルトナイズが可能となる.左結腸動脈を同定し,この分岐後の上直腸動脈を切離するが,IMA根部から左結腸動脈分岐までの距離は個人差が大きく,術前CTにて血管走行については十分シュミレーションをしておく.下部直腸の剥離授動操作では直腸を直線化した後に綿テープを巻き,これをMLRにて把持・牽引することにより良好な視野が得られる.直腸の切離は右下腹部PORTより60㎜自動縫合器を用いて原則1回で切離する.術中内視鏡により吻合部出血の有無の確認とleak testを行う.
【結果】対象は2013年6月~2016年12月までの171例.男性112例,女性59例,平均年齢66.7歳,平均BMI22.9,平均手術時間256分,平均出血量58.9g,局在Rs:108例, Ra:40例, Rb:23例,平均郭清リンパ節16.8個,pStage0:7例, Ⅰ:46例, Ⅱ:45例, Ⅲa:50例, Ⅲb: 8例, Ⅳ:15例.合併症:縫合不全7例(4%),神経因性膀胱3例,肺梗塞1例.pStageⅠ~Ⅲ症例での再発:11例(3年無再発生存率93.6%),原病死1例(pStageⅢb症例).
【結語】本法は既存の手術器具の工夫の範囲内で安全に施行可能で整容性にも優れ,根治性も十分担保されていると考える.
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