演題

RS2-108-18-4

巨大腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア修復術の工夫

[演者] 西條 文人:1
[著者] 徳村 弘実:1, 片寄 友:1, 高橋 賢一:1, 松村 直樹:1, 武藤 満完:1, 野村 良平:1, 澤田 健太郎:1, 千年 大勝:1, 佐藤 馨:1
1:東北労災病院 外科

背景 腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術(LVHR)は,確実なヘルニア門の確認,術後感染の軽減の面でメリットがあるが,ヘルニア門が横10cmを超えると手術手技が困難となり再発率も高いとされている.また,ヘルニア門閉鎖後は腹腔内体積の減少により,腹腔鏡下でのメッシュの正確な配置と固定が難しい.
対象と方法 当院で2010年1月から2016年12月まで施行されたLVHRは62症例(M:F=23:39, 中央値年齢68.5歳)であった.その内,横径,縦径共に10cmを超えるヘルニア門の症例は6例(M:F=3:3, 中央値年齢68歳)であった.手術方法は,術前にUSにて腹直筋外縁,また,腹腔内の癒着を確認する.Palmer's pointでfirst portを挿入後,左側腹部に12mmポートを挿入,癒着剥離に合わせ,5mmポートを随時追加する.癒着剥離後,ヘルニア門を皮膚上と腹腔内で計測する.2014年以降はヘルニア門を閉鎖している.ヘルニア門横径が10cmを超え,かつ,ヘルニア門閉鎖困難症例は,Endoscopic component separation(ECS)を追加し,ヘルニア門閉鎖を行う.ECSの手技は,腹直筋外縁やや外側に1.5cmの小切開を置き,外腹斜筋と内腹斜筋の間にスペースを鈍的に作る.バルーンを挿入後,Endoscopicに外腹斜筋腱膜を切開する.メッシュのサイズはヘルニア門を5cm overlapすることを基本としている.メッシュ展開と固定はDRACH techniqueにて行う.メッシュを両側よりrollして全体と一方のみ糸で固定した状態で腹腔内に挿入し,ヘルニア門の上下方向にメッシュを釣り上げ,rollしたメッシュを一方から広げていく.これによりほぼ正確かつ十分な展開でのメッシュ固定が可能になる.メッシュ固定にtransfascial suture, tackingを追加している.尚,巨大ヘルニア6例中4例にヘルニア門閉鎖を行い,ヘルニア門閉鎖+ECS症例はその内2例であった.
結果 平均手術時間は,LVHR全体で180分であったが,巨大ヘルニアでは329分で手術時間の延長を認めた. LVHR全症例の合併症は,再発2例,Port-siteヘルニア2例,肝機能障害1例,Bulging1例,血腫1例,腸閉塞1例であり,その内巨大ヘルニア症例では,再発1例を認めた.
結語 LVHR62例の経験より手術術式は変遷してきた.巨大ヘルニアは時間がかかるが,基本手技は同じである.ECSを追加すればよりヘルニア門閉鎖を可能する.正確なメッシュ固定手技で補強することにより,症例を選ぶ必要はあるが,巨大ヘルニアも腹腔鏡下で修復可能と考えられた.
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