演題

RS2-107-18-5

当院における腹壁(臍)ヘルニアに対する腹腔鏡手術の適応と実践:一修練医の経験から

[演者] 永川 寛徳:1
[著者] 進 誠也:1, カーペンター いづみ:1, 川上 俊介:1, 岡田 和也:1, 岸川 博紀:1
1:光晴会病院 外科

腹壁ヘルニアに対する術式は,開腹か腹腔鏡か,縫合閉鎖かメッシュ留置(IPOM)かあるいは両方(IPOM plus)かという選択肢が存在し,それらの選択は外科医もしくは各施設の基準に委ねられていることが多い.術式選択においては安全性と根治性が大変重要であると考える.今回,一修練医が経験した臍ヘルニア4症例から,当院での術式選択と実際の手技に関して報告する.

【症例1】44歳女性,BMI 24.6.ヘルニア門径は縦10×横8mm.開腹縫合閉鎖を施行.手術時間41分.術後3日で退院.術後は鎮痛薬の内服を要したが,1週間程度で軽減した.
【症例2】77歳女性,BMI 26.4.糖尿病の既往あり.ヘルニア門径は縦28×横25mm.腹腔鏡下にIPOMを施行.手術時間は72分.術後12日で退院.術後は10日間の鎮痛薬内服を要し,術後1か月でも腹壁貫通固定部に軽度の疼痛残存を認めた.
【症例3】73歳女性,BMI 26.4.糖尿病,関節リウマチの既往があり,ステロイドの内服があった.ヘルニア門径は縦22×横16mm.腹腔鏡下にIPOMを施行.手術時間92分.リウマチに対する定時の鎮痛薬内服があり,追加の鎮痛薬を要さず.術後9日で退院.
【症例4】78歳女性,BMI 24.6.開腹による虫垂切除術の既往があった.ヘルニア門径は縦25×横20mm.腹腔鏡下にIPOMを施行.手術時間73分.術後5日で退院.術後は1週間の鎮痛薬内服を要した.

当院ではInternational Endohernia Society(IEHS)の腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術ガイドラインを参考に術式を決定している.本ガイドラインではヘルニア門径が20mmを超える場合には単純縫合閉鎖では再発率が高く,メッシュ修復が良いとされている(Grade A).さらに術後のSSIの観点では,開腹手術に比べ腹腔鏡下手術が有意に少ない(Grade A)とされておりこれらに基づいて術式を選択した.IPOMでは再発を防ぐためにヘルニア門に対する十分なオーバーラップの確保やメッシュの変位・逸脱を防ぐための十分な固定が必要となる.今回,IPOMの症例では全て径9cmのメッシュを使用し,ヘルニア門から3-5cm以上のオーバーラップ(Grade B)を確保し,非吸収糸による腹壁貫通固定とタッキングを併用した(Grade B).しかし,腹壁貫通固定部の縫合部位に疼痛が残存する症例もあり,さらなる工夫が必要と思われた.腹壁ヘルニアでは患者背景やヘルニア門の部位,大きさなどにより術式の定型化は困難であるが,常にエビデンスに基づいて術式選択を行う努力が重要と考える.
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