演題

RS2-106-18-5

前立腺癌術後症例に対する腹腔鏡下ヘルニア修復術の手術手技

[演者] 平山 昂仙:1
[著者] 山本 徹:1, 百留 亮治:1, 谷浦 隆仁:1, 石飛 一成:1, 藤井 雄介:1, 平原 典幸:1, 田島 義証:1
1:島根大学医学部 消化器・総合外科学

鼠径ヘルニアはロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 (Robot-assisted laparoscopic radical prostatectomy,以下RARP) の15-25%に発症する重要な合併症の一つである.近年のRARPの普及に伴い,前立腺全摘除術後の鼠径ヘルニア発症は増加傾向にあるが,適切な修復の施行には習熟を要する.
RARP術後症例では,Retzius腔の剥離による強固な癒着が恥骨後面に形成されるとともに,下腹壁動静脈の内方偏位により鼠径三角のメルクマールが不明瞭となることが多い.これらがヘルニア門内側縁における精管の剥離後癒着と相まって,腹膜前修復の手技を困難としている要因と考える.
当科では2014年から2016年の間に12例のRARP後鼠径ヘルニアに対する修復術を経験し,剥離可能症例では腹膜前修復 (TAPP) 法を,剥離困難例では腹腔内修復 (IPOM-plus) 法を施行してきたが,鼠径ヘルニアに対するIPOM-plusは長期成績に十分なエビデンスがなく,将来的に患者に不利益となる可能性も懸念される.
2016年以降,当科では高位腹膜切開アプローチTAPP法を導入した.術式はヘルニア門の2横指頭側で腹膜を広く切開し,尾側に向けて腹膜前腔の剥離を行うものであるが,virgin layerから腹膜前筋膜深葉へ俯瞰的にアプローチするという特性上,RARP術後症例では通常のTAPP法と比較し,より容易にCooper靭帯へアプローチが可能となることが明らかとなった.本術式の導入後,RARP術後鼠径ヘルニアの修復においてIPOM-plusを要した症例は一例もなく,両側修復時の手術時間中央値150分 (n=4) であり,許容範囲内と思われた.
高位腹膜切開アプローチTAPP法は,今後症例が増加することが懸念されるRARP術後鼠径ヘルニアに対する標準的アプローチとなりうる有用な術式であると考えられる.本術式における,剥離操作のコツを中心とした手術進行をビデオで供覧する.
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